お知らせ

泉中央南「歌声サロン」_1月

2023.1.20

仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、
泉中央南町内会と協働してこのサロンを運営しています。

〈仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」〉

曇り空の下、2023年初めての泉中央南うたごえサロン開催です。開始10分前になっても、集まっていたのは3人ほどでしたが、そのうちあれよあれよと人が増え、始まる頃には市営住宅の住民さんに加え、地域の町内会長さん、包括支援センタースタッフの参加もあって、なんと14名に!にぎやかなうたごえサロンとなりました。今日の音楽リーダーは、奇数月担当のソプラノ都築紘子さんと、ピアノ千葉理香さんです。

まずは新年のご挨拶、そして早速身体をほぐすストレッチです。上にあげた両手を、そのまま後ろに、ゆっくりと回して下ろします。次は後ろからゆっくり上げて、前に下ろして…ふ~とみなさんの気持ちよさそうなため息が聞こえてきました。普段、意識して使うことの少ない肩の周りを、ゆっくり息を吐きながら動かしてみると、とても気持ちがよいものでした。その後は、鳥が羽を広げるように、腕を後ろ斜め下へ引き、胸を張ります。と、都築さんから「みなさ~ん、かわいいお顔でお願いします~」よほど眉間に皺が寄っていたのでしょうか…!

次は歌う前のウォーミングアップを「あんたがたどこさ」で。「この歌詞には“さ”が11個も出てくるんです。その“さ”の時に、手を叩いてみましょうか」そんな都築さんからの提案に、早速挑戦。「みなさん、もしかして練習しましたか?!」と言われるほど、これは難なくクリア!「では、次は“さ”のところを、口には出さずに、手だけを叩きます」これも、すぐできるかな、と思いましたが、やってみると難しい!“あんたがたどこ● 肥後● 肥後どこ●(さ!)”と、やってみても、ついつい口からも出てしまいます。慣れるために、都築さんが手で「さ」の字を手で隠しながら、みんなで歌い進んでみました。今度は、視覚情報も遮られる分、言わずに我慢することができました。“さ”の隠された「あんたがたどこ●」は最後にテンポを早くして再挑戦。あちこち笑いも置きながら、大団円となりました。

さてここからが、歌の時間スタートです。まずは「四季の歌」を。みんなで朗読した後に都築さんから一言「それぞれの季節に、それぞれの人が描かれています。それを想像しながら、歌ってみてくださいね」長く様々な世代に歌い継がれてきたこの歌を、みなさんもすぐに一緒に口ずさみ始めました。「5番はラララで!」歌声喫茶のようなほがらかさで、みなさんの歌声が会場を満たします。次の「冬の星座」は、文部省唱歌。タイトルを聞いて思い出した方はいなかったものの、音楽リーダーお二人がまず一度歌ってくださると「あぁ!この曲か!」とでもいうように、頷きながら聴かれる方が、あちらにもこちらに。1872年にアメリカでつくられた時は、恋の歌だったそうなのですが、訳詞が付けられる際に、今のような内容になったそうです。「さゆる」は“冴える”、「奇しき」は“くすしき”と読み“不思議な”という意味なのだそうです。古風な書き言葉の歌詞ではありますが、とても美しい響きです。オリオン、すばる、北斗(七星)と、登場する3つの星座の大きく広がる様子を夜空に想像しながら、そして12月にソプラノ佐藤瑛利子さんから教えていただいた「鼻濁音」に気をつけながら、歌ってみました。また「銀河」の「ぎ」など、語尾ではなく、言葉の最初に鼻濁音来が来た時には、濁らずにはっきりと発音する方が良い、とも習いました。そう言われてみると、意識する前から、自然と使い分けをしていたかもしれません。そしてみなさん、お待ちかねの石川さゆり「津軽海峡・冬景色」。ピアノ伴奏で歌ってみると、耳に馴染んだ音楽とはひと味違っていて、これはこれでとてもとても素敵でした。こぶしを入れて歌われる方もいらして、十人十色の「津軽海峡・冬景色」が聴こえていました。「始めのところで、階段を少しずつ上がるように登っていって、降りる時はゆっくり丁寧に下りてくると…上手そうに聴こえます!」と都築さん直伝の技を、伝授いただく場面もあり早速みんなで試してみます。やはり慣れ親しんだ味、とでも言うような、みなさんののびのび歌われる様子に、演歌もよいものだな、と感じました。

最後は意外にも「いい湯だな」これは永六輔作詞・いずみたく作曲、だったのですね…!都築さんがのびやかな歌声で「い~い湯・だ・な・ハハハン♪」と歌うと、千葉さんがピアノを弾きながら「あ~ぁビバノンノン♪」と、合いの手を入れてくださるのも、とてもかわいらしく(ご本人はとても緊張していたそうなのですが!)、客席のみなさんにも笑顔が溢れます。「“いい湯だな⤴”のところは、最後のところを上に持ち上げるように、語尾を明るく気持ちを上げて歌ってみましょう~」たしかにこの曲に、暗い声は似合いませんね!

そうして、楽しい時間はあっという間に過ぎて、ミニコンサートの時間へ。1曲目は「(ビバノンノンを言うのに緊張して)まだ、心臓がトカトカしています」という千葉さん、気持ちを入れ替えて…マクダウェル作曲「野ばらによせて」。子守歌のようにゆったりとした美しい曲に、みなさん身をまかせながら聴き入っていました。続いては、都築さんの歌で文部省唱歌「冬の夜」を。囲炉裏の周りに集う家族を歌った、ゆったりとした歌ですが「そ~と~は~ふ~ぶ~き~♪」と終わるこの歌、「今日の夜は吹雪になるそうですから、この歌を思い出していただいて…」そんなタイムリーなコメントに、どっと笑いがおきます。英語で歌われた「星に願いを」では、高い音域の、豊かな声量に圧倒されてコンサートは終了…のところを、すかさず「アンコール!アンコール!」と町内会長さん。周りのみなさんの拍手も続きます。都築さん千葉さんが用意していたのは、松任谷由実の「春よ、来い」。日本では、お正月を迎える1月も「初春」「新春」と言いますし、4月寒さが緩んで暖かくなる頃も「春」。そういえば、日本には二度の春がありますねぇ、とお話ししながら、少し切ないメロディーの春の歌を楽しみました。

思いがけず多くの方にご参加いただいた、1月のうたごえサロン。都築さん千葉さんは、次回3月にお願いしています。もう、徐々に暖かさも感じられる頃でしょうか。帰りには、春の歌のリクエストもいただいたようです。みなさん、ここでまた、お会いしましょう!