お知らせ

田子西「うたカフェ♪」_2月

2023.2.17

仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅ではk
町内会主催のサークル活動として、この住宅とその周辺にお住まいの方々の
交流の場「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌を楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、音楽リーダーをコーディネートしています。
(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)

今日の仙台は3月並の暖かさとなりました。集会所にも上着を着ないでやって来る人もいたくらいで、季節が急に進もうとしているようです。暖かくなると歌のひとつも口ずさみたくなるもの。そんな日は「うたカフェ」で一緒に音楽を楽しみましょう。音楽リーダーは仙台オペラ協会のソプラノ松本康子さんと岩瀬りゅう子さん、伴奏は富樫範子さんです。

今日のプログラムは“え”から始まる曲特集でした。まず最初に歌ったのは『エーデルワイス』、今日は英語の歌詞にチャレンジしました。岩瀬さんから単語と単語のつなぎ目の発音の仕方や、vの発音のコツなど英語が上手な人っぽく聞こえる歌い方のアドバイスをもらってから歌っていると、なかなかいい感じに歌えていました。そんな中、合唱経験のある参加者が見事なハイトーンボイスを披露してくれたので、岩瀬さんと松本さん、さらに同じく合唱経験者の町内会長さんの4人でハーモニーを奏でる場面もありました。
『襟裳岬』は演歌歌手の森進一さんの楽曲ですが、吉田拓郎さんによるメロディはどちらかというとフォークソングに近いものがあります。1つの音にたくさんの言葉が詰め込まれているので歌い慣れない人には難しく、“え”で始まるから、というだけで選曲したという松本さんは「みなさんのほうが上手に歌えるかもしれません」と話していました。実際、学校の授業でこの曲を歌ったという人もいて、参加者は慣れた様子で歌っていました。くり返し歌われる【襟裳の春は 何もない春です】というフレーズは、作詞家が襟裳を訪れた際、暖をとらせてもらった民家で「何もないですがお茶でも」と温かくもてなされた体験から生まれた歌詞なんだそう。そのエピソードを紹介した松本さんは「何もない、が“温かい”に通じていることを頭において歌ってみてください」と話していましたが、そういった背景を知ると【何もない春】の印象が全然違うものになりますね。
古関裕而による名曲『栄冠は君に輝く』も歌いました。「喫茶ひこ」のマスター・西垣信彦さんはこの曲をフルコーラスで聴くのが初めてだったそうで、「童謡とかでもそうだけど、実は歌い出しの部分しか知らない曲も多い。こういう歌だったんだという発見もあるのが、うたカフェの楽しいところ」と言いながら、楽しそうに歌っていました。他にも『駅馬車』や『絵日傘』といった曲も歌いました。

ミニコンサートでは、最初に岩瀬さんが『栄光の架橋』を歌ってくれました。まさか岩瀬さんの歌声でゆずの名曲が聴けるとは思わず、曲名を聴いた参加者からは歓声が上がっていました。岩瀬さんは以前少年院に慰問に訪れた際にこの曲を歌ったそうですが、次の年に同じ場所に訪問したときに、今度は少年たちが合唱で『栄光の架橋』を歌ってくれるというサプライズがあったという思い出を話してくれました。「胸がいっぱいになりました」と当時を振り返る岩瀬さんのお話に、参加者も「すてきなお話ね~」と表情を緩めていました。松本さんが歌ってくれたのはオペラ「アドリアーナ・ルクヴルール」より『私は神のいやしいしもべです』という曲でした。歌い出しが「Ecco(エッコ)」という単語で始まるので、今日の選曲基準に沿う楽曲になっています(ちなみにEccoはイタリア語で「ほら」というような、呼びかけの言葉だそう)。あまりなじみのないアリアだったかもしれませんが、部屋を満たす松本さんの歌声にうっとりと酔いしれるひとときを過ごすことができました。

 

来月のうたカフェは3月17日に開催予定です。その頃にはもう少し春の気配が強まっているでしょうか?次回もぜひ足をお運びくださいませ!