お知らせ

釜石・橋野「春まちふれあいコンサート」

2023.2.15

岩手県令和4年度「被災者自身の参画による心の復興事業」補助金の採択を受け、9月につづいて釜石・大槌10会場での「復興コンサート」を開催しました。出演はアルト谷地畝晶子さん(滝沢市在住)、ピアノ阿部夕季恵さん(二戸市在住)です。

最初の会場は、釜石市街から車で20km、山あいにある橋野ふれあいセンター の研修室。栗橋公民館の主催、またキーボードの手配と撮影を(一材)槌音の臺さんにお世話になりました。昨年9月に、初めてお伺いした際は、館内の体育館が会場でしたが、この時期は流石に寒いため今回は和室が会場です。お天気は良いものの、道路際には気温-7℃の表示。車道の脇には雪が積もったままで、日陰は凍っているようです。こんな寒さではみなさん、コンサートへ来てくださるだろうかと心配になりながら、会場に向かいました。

到着すると、職員のみなさんが早くから暖めてくださったお陰で、和室も控え室も既に暖かでした。そして、こちらの心配をよそに、開場時間よりも前から、お二人ほど到着。その後ろからも、一人二人と、歩いてきてくださる方の姿が見えます!結果的には、「申込み、してないんだけど、入れる?」と当日の飛び込みの方も、何人もいらっしゃいました。栗橋地域を担当されていらっしゃる、釜石市社会福祉協議会の高橋さんも駆け付けてくださいました。3月で退職されるとのこと、公民館共催のきっかけを作って下さったことや、釜石事情を外からの視点を持って教えていただいたことなど、これまでが走馬灯のように駆け巡りました。本当に様々な場面でお世話になりました。震災以来、長きに亘ってのご活動、本当に御苦労様でした、ありがとうございました。

開演前には、会場いっぱいのお客さまとなりました。コンサートの始まりは演歌から。氷川きよしさんの「箱根八里の半次郎」をピアノ連弾で演奏します。ドレス姿で、連弾で、演歌での始まりは、みなさんの予想を良い意味で大きく裏切ったようです。一曲が終わると途端に、少し緊張していた場の空気があっという間に弛んでいたようでした。

また、N所長を通して、地域の方からリクエストいただいていた「桜貝の歌」について、「この曲、今回実は初めて知ったのですが、歌えば歌うほどにいい曲だなぁ、としみじみ感じて、とても好きになりました!」と谷地畝さん。「リクエストをいただいて初めて知る歌との出会いも、とても嬉しいので、今日もお配りしています感想カードに、ぜひ、おすすめの曲やお好きな曲を、教えていただけると嬉しいです」と、一言付け加えてくださいました。「桜貝の歌」をリクエスト下さった方は女性かな、と思っていた私達でしたが、演奏後、名乗り出てくださったのは意外にも男性の方でした!「リクエストに応えてくれて本当にありがとう、とっても良かった!」と。この曲は作曲家自身が、恋人を肺結核で18歳で亡くしており、その悲しみをこめて作られた曲なのだそうです。「そのエピソードを知ると、一層感じ入るものがありますね…」と谷地畝さん。みなさんも、特にこの曲は、耳を澄ませて聴いてくださいました。

後半は「みかんの花の咲く丘」で、脳トレをしたり、ピアノの阿部さんからはイントロクイズも出題されました。そして、なんと最初の一つの和音だけで、曲名を当ててしまった方が。なんと公民館のN所長でした!その「津軽海峡・冬景色」、きっとよく歌われているのに違いありませんね。その後演奏されたピアノ・ソロでのこの曲は、劇的、かつ華やかな編曲が施されており、聴き応え抜群の一曲でした。

まだ二度目の訪問ですが、とてもアットホームなコンサートとなりました。帰りはマスクをして、演奏者によるお客様のお見送りも再開しました。「とってもよかったよ~!なんだかつい拝みたくなっちゃう!」と、二人に手を合わせていく方もいらっしゃって、周りのみんなで大笑いです。「感動した~!」と、思わず、握手されていく方も。そんな、コロナ以前はあたりまえだった光景が、少しずつ、戻ってきたようでした。「早春編」と題したコンサート、山間の橋野地区に本格的な春が来るのは、まだまだ先でしょうか。聴きにいらしてくださったみなさんの心に、ひと足先に春をお届けすることができていましたら、この上ない幸せです。