お知らせ

荒井東「音楽サロン」_4月

2023.4.18

仙台市若林区にある復興公営住宅の荒井東市営住宅町内会からの依頼で
2018年4月から音楽を楽しむ会をお届けしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

前回のサロンの時にちょうど満開だった桜はもうすっかり散って、今日はむしろ少し肌寒いくらいです。季節が行きつ戻りつ、気温の変化が目まぐるしいこの頃です。集会所に到着した時、町内会の方々が集まって新しい役員さんたちに仕事の引継ぎをしているところでした。ここにも新しい春がありました。今年度、新たに就任した副会長さんは「あら、楽しそう!」と音楽サロンに興味を示し、さっそく参加してくださいました。
さて、音楽リーダーのソプラノ鈴木真衣さんとピアノ田村聡子さんは白のコーディネートで軽やかに登場しました。聡子さん持参のたくさんの花々を飾り付けると、会場がすっかり明るく華やかな雰囲気になりました。
今日の課題曲は『四季の歌』『エーデルワイス』『翼をください』の3曲です。ウォーミングアップに肩を上げ下げしたり、身体を左右にねじったり。また、腿から膝にかけて手のひらでごしごしと摩擦して温めました。「手足も含め、からだ全体が声を出す時の共鳴体になりますから」との説明にみなさん「へえ~」「あ、体が温かくなった!」と興味深そうにしていました。

歌いながら、今日は呼吸について重点的にアドバイスがありました。真剣に構えると体が固まって、呼吸がしづらくなります。「ゆらゆらと揺れながら歌ってみましょう」「息を吸うときには吸おうと思わず、ゆるめるつもりで」と、脱力することを試しました。結果、力まないことを“がんばる”ことになってしまい、「難しいね!」と言っていた方もいました。
歌うときはよく「腹式呼吸で」と言われますが、本当はおなかに吸い込むことはできません。正しくは「横隔膜を伸びやかに使って肺の容積を広げる」ことだそうです。横隔膜に意識を向けて歌ってみました。歌を通して自分の身体の中に新たな発見をしていくことも、このサロンの一つの役割かと思います。

会の後半は恒例のミニコンサートです。別れに伴うほろ苦さやせつなさも春という季節の一側面かと思われます。それにちなみ、『木綿のハンカチーフ』が演奏されました。続いて、敗戦後の焼け野原に生まれた『花の街』、明治時代からの定番曲『花』が披露されました。参加者から「いつか『花の街』を歌ってみたい」という声があったり、『花』の低音パートを口ずさむ声が聞こえたりしました。

聡子さんがピアノソロでモーツァルト『トルコ行進曲』を演奏する段になると、「わぁ、私の好きな曲!」と誰かが言いました。聡子さんはベートーヴェンの『トルコ行進曲』とも弾き比べて、どちらの曲にも共通するトルコ風のリズムについて解説し、ここでもみなさんは「へえ~」と感心していました。演奏後にやんやの喝采を受けながら、聡子さんは「グランドピアノでご披露できればねぇ…」とちょっぴり残念そうでした。
そんなこんなで、今日も楽しく歌うことができました。初めて参加した方々が「楽しかった~!」と、ご機嫌な様子で記念の写真を撮っていました。
皆さんとともにつくる音楽サロン、また来月もよろしくお願いします!