お知らせ

泉中央南「歌声サロン」_4月

2023.4.21

仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽リーダーをコーディネートし、
泉中央南町内会と協働してこのサロンを開催しています。

(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)

昨日今日と、5月下旬を思わせるようなあたたかさです。近くの七北田公園では八重桜がちょうど満開でした。集会所の大きな窓からは、隣りの芝生に咲くタンポポ見えています。今年度、泉中央南の「うたごえサロン」は、ソプラノの佐藤瑛利子さんとピアノの原田満梨奈さんが音楽リーダーを務めます。日にちは毎月変わりますのでどうぞチラシをお見逃しなく!(開始時間も14時からに変わりました。)

そんな新年度の始まりは、初めての方や、久しぶりの方も。「まずは少し身体をほぐしましょう」瑛利子さんの声掛けで、座ったままかかとの先を上げたり下げたり、足の指を伸ばしたり、ぎゅっと閉じたり。首をゆーっくり回すのも、なかなか普段はしませんね、気持ちよいなぁと感じながら…。他にも、体の側面を伸ばしたり、右、左、とパンチを繰り出したり…。「私はじんわり、少し汗をかくくらいになっていますが、みなさんはいかがでしょう?」瑛利子さんの言うとおり、座ったままの運動だけでも、いつのまにかぽかぽかとしてきました。そして、体のあちこちがぐーっと伸ばされて、気持ちも晴れ晴れ。そのほか歯と歯の隙間から、スッスッと息を吐くブレストレーニングや、「オオカミの遠吠え」を真似して低い音域から高い音域にエレベーターで上がるように上って、下りてくる練習もしてみました。みなさんのオオカミのなりきり具合に「みなさん、上手ですね!!すっごくこのお部屋に響いていますよ!」あら。大人になってから褒められること、なかなかありませんよね、褒められるって、なんだかとっても嬉しいものですね!(笑)「音ははずしても全然構いませんので、滑らかに、もう一回いってみましょうか」。とても響く集会室に、「オオカミの遠吠え」がもうひと唸り。今日はなんだかみなさん、一層気持ちよく歌えそうですね。

滝廉太郎の「花」から今日は歌います。瑛利子さんと原田さんに1番だけ、お手本に演奏いただいてから、みんなで歌詞を読みます。「ながめを何に たとうべき」の「べき」と言う言葉の意味を、今の中学生は「~するべき」と同じ意味かと思ったそうで…100年の間に、言葉というのは知らず知らず変化しているのですね。メロディーはみなさんご存知のこの曲を「指揮をしながら、歌ってみましょうか。2拍子の指揮はこんな感じです」カタカナの「レ」の字を書くように腕を振る2拍子、それぞれ自分で指揮をしながら歌うと、先ほどまでよりも、なんとも歌の流れがスムーズになったように思いました。「指揮しながら歌うの、難しい~」と言う方もいらっしゃいましたが、みなさん頭と口の良い運動になったようです。

つづく「リンゴの唄」「青い山脈」は、どちらも戦後すぐの大ヒット曲。「なつかしいねぇ~」と声がどこからともなく聞こえます。「リンゴの唄」は原田さんが弾くピアノの前奏が始まるなり、楽しそうに小さく手拍子や、足で拍子を取る方がいらっしゃいました。懐かしい思い出が詰まっているのかもしれませんね。一度歌った後に「ん、を、高い音で歌うのっって、難しいですよね、みなさんどうしても、高い音を出す時は難しい顔をされがちなのですが、ここは逆に思いっきり、目を開くといいんです。ちょっとそれを練習してみましょうか」「まずは、顔をギュッと真ん中に縮めます。そしてその後、パッ!!と口も顔も目も、一斉に全部開きます!大丈夫です、みなさんはマスクをしていますので、誰からも見えません!」どっと笑いがおきました。「じゃあ、ちょっとやってみますね、こんな風にです」マスクを取って見せてくれた瑛利子さんの見事な「ギュツ!」と「パッ!!」が、なんとも可愛らしい!さて自分達にもできるかな?と思う間もなくみなさんで挑戦です。「まずはギュ、そして…パッ!そうです!そんな感じです!」画して「♪リ~ン~ゴの気持ち~は~よ~くわかる」をもう一度歌ってみると、確かに、さっきとは全然違いました!ちょっとしたコツで、こんなにも音楽が変わるということが、なんだか不思議な感じです。「青い山脈」では、途中から体操?振り?をつけて歌いました。こちらも、無理のない動きにストレッチと、ほんの少しのお芝居要素が入り、なんだか旅芸人風な気分も味わえました。一番だけ、と言われたのに、二番でもついつい踊ってしまう方が、私も含めて何名か!?

みんなで歌ってポカポカしてきたところで、今日から登場した電子ピアノについて、少し紹介させていただきました。震災後、仙台を拠点に活動されていた「ピアノをとどける会」。震災からまだ数年もしない頃に、仙台フィルに2台寄贈いただいたうちの1台を、復興センターで使わせていただいていました。本来は家庭などに据え置いて使うタイプのものですが、当時はご依頼をいただく先にピアノがなければ、その都度解体して、この楽器と一緒に仮設住宅にも伺っていました。その後、しばらく使う機会がなく、もったいないと思いつつも倉庫に眠らせてあったのですが、この度、泉中央南町内会さんのご厚意で、集会室にお預かりいただき、毎月の「うたごえサロン」で訪問する際に使うことにしました。元々が復興支援で送られた電子ピアノでしたので、災害公営住宅として始まったこちらの市営住宅に、というのは何よりの行先です。訪問ボランティア自体、今ではもうほとんど活動されている方も少なくなりましたが、私たちだけではなく、みなさんに活用していただけたらと思います。

ミニコンサートの時間には、中田喜直の歌曲から、今の季節にぴったりな「たんぽぽ」と「たあんきぽーんき」の2曲を。「たんぽぽ」は、詩やメロディーばかりでなく、そよ風やかわいらしいミツバチの羽音をそっと感じるような原田さんのピアノも、また、素敵でした。「たあんきぽーんき」はみなさん初めて聴く曲だったようですが、どこかわらべうたのような節回しや、たんぼの周りの生き物たちの日常を、そっと覗き込むような一曲。途中からテンポが速くなると、なんだかガラッと音楽がにぎやかになるのも面白いところでした。それにしても、こちらの集会室はやはり、とっても響きます!瑛利子さんの歌声も、原田さんのピアノも、一瞬で部屋全体に拡がって、あっという間にからだごと音楽に包まれるようでした。最後の盛大な拍手に「では、今の拍手をアンコールと受け取りまして…」そんな瑛利子さんのひと言に、またどっと笑い声が起こりました。「こちらも今が、ちょうど花の旬の季節だなぁと思って」と原田さんに教えていただいた「赤いスイトピー」が今日のアンコール。今日はたくさんの花が登場する、春らしいプログラムとなりました。「歌ってほしい歌、自分たちで歌いたい曲、どちらもリクエストをお待ちしています」とお話しすると、帰り掛けにさっそく声をかけてくださった方も。(どうやら、北島三郎さんの歌をと…?!)

会の終わりでは、町内会長さんからのお話しのなかで、今年は4年ぶりに夏祭りをやろうと思っています、とのことでした。感染症で、すっかり遠のいてしまったイベントごと、人と人が顔を合わせる機会が、今年は少しずつ戻ってくるのかな、と日に日に実感するこの頃です。「歌声サロン」も、いつでも新しい方のご参加もお待ちしています。どうぞチラシを見掛けられましたら、お気軽にいらしてくださいね。