お知らせ

荒井東「音楽サロン」_6月

2023.6.20

仙台市若林区にある復興公営住宅の荒井東市営住宅町内会からの依頼で
2018年4月から音楽を楽しむ会をお届けしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

今日も梅雨の中休みの青空が広がる仙台です。荒井東市営住宅の庭園ではラベンダーが満開でした。ほどよい暑さの中、窓を全部開けた集会所は風通しがよくて、すがすがしい気分になります。音楽リーダーのソプラノ鈴木真衣さんとピアノ田村聡子さんは「気持ちいいですねー!」と楽しそう。真衣さんは裸足になってもはや夏を先取りしていました。いわく、足が大地にしっかり付いて歌いやすくなるのだそうです。

リハーサルをしていると、コロナ禍以前の常連さんが「久しぶりだこと~」と顔を出してくださいました。
愛犬メロンちゃんのおさんぽ帰りだそうです。おとなしくて人見知りしないメロンちゃんは、聡子さんになでられてすっかりご満悦の様子でした。

さて、ウォーミングアップで身体をほぐしたのち、加山雄三の『君といつまでも』を歌いました。真衣さんは「ペンライトを振るようなイメージで、腕を左右に大きく振りながら歌ってみてください」と言いました。みなさんやってみますと、声が伸び伸びとしています。この腕の振りは意識と身体のムダな緊張を取るためのアイディアで、「歌わなきゃ」と力んだり固まったりするのを回避できるそうです。これは本当に効果てきめんでした。

また、例の「しあわせだなぁ~」のセリフ部分について、真衣さんが「最近、幸せだなあと思ったことは何ですか?」と質問すると、ある方が「はい!」と元気よく手を挙げて「お風呂に入ると幸せだなあ…と思うんです」と言いました。なるほど、それはいいですね。全員でその様子を想像して、歌に合わせて「しあわせだなぁ~」と言いました。万感の思いがこもった湯気が立ち上ってくるかのようでした。

さあ、のどが温まったところで、いよいよ新しい試みに取り掛かります。数か月かけて瀧廉太郎『花』の二部合唱にチャレンジします!
「学校で習ったのが懐かしくて…」とのご希望があっての選曲ですが、久しぶりに歌ってみると細かいところがけっこう難しい様子でした。高音の人も低音の人もそれぞれつられてしまって「あれれ?」と混乱します。自分の声も他人の声も聞きつつ歌うことは、やはり一朝一夕にはできないものです。聡子さんはいつもピアノを弾きながら歌ってハーモニーをつけているのですが、それがいかに難しいことかが自分で歌ってみるとわかりますね。
今日は初回なのでその混乱も面白がりつつ、何度か練習しました。1番から3番まで微妙に音程が違っていて、作曲家の仕組んだ細工に翻弄されるのですが、いつか完璧に歌うことを夢みて、気長にがんばりましょう!

会の後半のミニコンサートでは、シューベルトとウェルナーの作曲による『野ばら』の聴きくらべがありました。真衣さんはドイツ語で歌い、「Freuden(よろこび)」という単語をピックアップして、それぞれの表現を示しました。「わーい!」と大喜びしているようなシューベルトに対し、しみじみ噛みしめているようなウェルナー。みなさんは「わぁ、そうなんだ…」と、とても興味深そうに聴いていました。
梅雨時にちなんで、童謡の『にじ』も演奏されました。文部省唱歌とは違ってだいぶ最近の童謡ですが、大人が聞いても心にひびく歌です。ある参加者が「あ、これも歌ってみたいのよね…」と言いました。さっそく次回から取り入れたいと思います!のんびり楽しんで練習していきましょうね。