お知らせ

田子西「うたカフェ♪」_7月

2023.7.28

仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では
町内会主催のサークル活動として、この住宅とその周辺にお住まいの方々の
交流の場「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌を楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、音楽リーダーをコーディネートしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

日当たり良好な田子西市営住宅の集会所は、基本的には雰囲気が明るくて居心地が良いのですが、さすがにこの季節だけはその日差しが辛く感じられます。あえてカーテンを閉め切ってみましたが、換気のために少しだけ開けたサッシのすき間からもわもわとした熱気が入りこんできます。そんな炎天下にも関わらず、今日もたくさんの方が集まりました。元気に歌って、レッツ暑気払い!
今日も音楽リーダーの仙台オペラ協会ソプラノ松本康子さん&岩瀬りゅう子さん、ピアノ富樫範子さんが朗らかに登場し、ゆったりウォーミングアップから始めました。

さて、本日のプログラムは恋のうた特集です。夏は恋の季節!ということで、まずはピンキーとキラーズ『恋の季節』を歌いました。昭和を代表するヒット曲の1つと言っても過言ではないこの歌ですから、みなさんしっかり歌えていました。ピンキー役とキラーズ役に分かれて、主旋律とバックコーラスを交代しながら歌いました。中にはピンキーの振付を真似る人もいましたよ。ノリノリですね!

続いては村下孝蔵の『初恋』です。これは参加者Sさんからのリクエストでした。Sさんがその昔、職場の同僚からLPレコードをもらったそうで、その中に入っていたのがこの歌でした。東日本大震災で被災し、レコードプレイヤーを失ってしまったのでそれっきりになっていたのですが、ふと思い出し聞いてみたくなったということでした。ニューミュージック風で言葉のさばきが難しいかなと心配したのですが、どの方もほぼ問題なく歌えていた様子で良かったです。

その後はアニメ「キテレツ大百科」で流れていた『はじめてのチュウ』、現在のNHK朝ドラ主題歌『愛の花』を歌いました。昭和・平成・令和のラブソングを堪能したところで、講師演奏として松本さんがモーツァルト『恋とはどんなものかしら』をイタリア語で披露しました。言葉が分からなくても、この可愛らしく微笑ましい歌はよくおなじみのものですね。みなさん体を揺らしながら聴いていました。

締めは石川啄木の短歌による歌曲『初恋』を松本さんと岩瀬さんが二重唱で歌いました。
しっとりとした旋律とシンプルながら情景が目に浮かぶ歌詞に、みなさんは目を閉じて聴き入ります。歌詞にある「遠く思い出ずる日」として、みなさんの胸にはどんな光景が去来しているのでしょう。打ち寄せる波の音まで聞こえてくるようです。しん…とした静かな心持ちに、暑さを一瞬わすれました。そういえば、うたカフェとは参加者と音楽家双方からの愛に満ちているステキな場だな、と改めて感じました。