お知らせ

荒井東「音楽サロン」_11月

2023.11.14

仙台市若林区にある復興公営住宅の荒井東市営住宅町内会からの依頼で
2018年4月から音楽を楽しむ会をお届けしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

今日は久しぶりに顔を出した方が何人かいらしたり、常連さんは席替えをしたり、と新鮮な雰囲気で始まったサロンです。1年ぶりに来たとおっしゃった方は、しばらく入院をしていたそうで「やっと出かけられるようになったから、たまには声を出さないと…と思って」と笑顔を見せていました。
音楽リーダーのソプラノ鈴木真衣さんとピアノ田村聡子さんは入念なリハーサルを終えて、元気に登場しました。まずはウォーミングアップに両手をぶるぶると振ったり、腕から胸元、背中から腿やふくらはぎまでをトントントンと叩いたり。
「あら、これは気持ちがいいね」という声が聞こえてきました。真衣さんは「歌うときはからだ全体を響かせるので、軽くたたいて起こしてあげてください」と説明しました。

前回から、12月へ向けた課題曲として『諸人こぞりて』を取り上げています。今日は歌い出しの第一声をピックアップして練習しました。「も」と言うよりは「ま!」と言うつもりで歌ってみました。響きが明るくなって、この歌の曲想にぴったりです。

「歌うためには前奏の最中に体と心の準備が必要です」とのことで、背筋を伸ばし、胸を開き、大きく息を吸って「さあ歌うぞ!」と構えたところ、「息を吸うときはむしろ体の力を抜いてください」とアドバイスがありました。「よし、吸うぞ!」と思うと、体が固まって呼吸が浅くなるものです。脱力すれば肺に自動的に空気が入って来る、と身体の自然を信頼しているだけでOKだそうです。
ほとんどの方は主旋律を歌いましたが、合唱の経験がある人とピアノの田村さんはアルト、真衣さんはテノールパートを歌い、急ごしらえでしたが、三部合唱に挑戦しました。厚みのあるハーモニーが歌う楽しさを増してくれますね。歌い終わると「わぁ、すてき…」と拍手が湧いてきました。

後半のミニコンサートではマンシーニ『ムーンリヴァー』、ビゼー『小さな木の実』、アイルランド民謡『ダニー・ボーイ』が披露されました。やさしい歌声とピアノの調べがしっとりとした時間を紡ぎ、もの悲しい歌詞が秋の深まりを一層感じさせるようでした。皆さんからは、ほーっとしたため息とともに拍手が沸き、満足したような笑顔がこぼれました。
急に寒くなってきたのでくれぐれも体調には気をつけて、また来月、元気で歌いにいらしてくださいね。