お知らせ

荒井東「音楽サロン」_1月

2024.1.16

仙台市若林区にある復興公営住宅の荒井東市営住宅町内会からの依頼で
2018年4月から音楽を楽しむ会をお届けしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

新春最初の音楽サロンですが、今日は横なぐりの雪が吹き付けるあいにくの天気です。が、雪ニモマケズ風ニモマケズ、音楽リーダーのソプラノ鈴木真衣さんとピアノ田村聡子さんは防寒対策ばっちりで元気に登場しました。
この風雪の中をやって来た参加者を歓迎する気持ちを込めて、まず最初に聡子さんが宮城道雄『春の海』をピアノで独奏しました。CMなどのBGMでおなじみの正月の定番曲ですが、
演奏としてきちんと向き合って聴くという経験はなかった方がほとんどで、絢爛豪華な音の絵巻にじっと耳を傾けていました。音楽サロン、きらびやかでゴージャスな幕開けに大きな拍手が沸きました。

お正月気分をおさらいしたところで、今度はからだのウォーミングアップです。手指足指を温めるために丸めたり伸ばしたり、手首足首をぶるぶる振ったりぐるぐる回したり、体をねじったり腕を背中に回して肩甲骨を寄せたりと、歌い初めに備えて入念に準備体操を行ないました。
発声練習を兼ねて、先月に続き『野菜の気持ち』の一節をおせち料理ヴァージョンでやってみました。「ちょろぎ」に始まり、「お雑煮」「なます」「昆布巻き」「金柑」が次々登場します。先月だけど去年のことはもう忘れちゃったのか、リズム取りにとまどっている人多数でした…ドンマイです。

続いては真衣さんが、「これを歌うたび私は泣けてきちゃうんですが、すてきな歌詞なので皆さんと読みたいと思います!」と言い、『アンパンマンのマーチ』をみんなで朗読しました。「たとえ胸の傷が痛んでも」ほか、大人だからこそ沁みる言葉がたくさんあります。読み終わると「いい歌詞だね~」「ほんと、知らなかった…」と感心している方がいました。
1番をみんなで歌いました。冒頭の「そうだ嬉しいんだ生きる喜び」の「そ」がけっこう高音で切り出しにくいため、真衣さんがある工夫を紹介しました。「ボールを遠くに高く投げるようにして歌ってください」とのアドバイスで、みなさんふりかぶって右腕をぶんっ、と回して歌いました。準備体操で肩甲骨をほぐしておいた効果があったようです。
そして、「一番大事なことは、笑顔で歌うことです」と真衣さんは言いました。せっかく歌うなら、歌のメッセージが誰かの心に届くように歌いたいものです。また、笑顔になると頬も眉も上がって、歌いやすくなるという利点もありますから、いつも意識したいですね。

待ち遠しい春に備えて、瀧廉太郎『春』を歌いました。昨年来、二部合唱を練習していた曲です。真衣さんは空中の一点を指して「みなさん、ここに声を集める気持ちで歌ってみてください」と言いました。
すると効果てきめん、合唱っぽく聞こえてきました。声の質は人それぞれでいろいろなのに、みんなと合わせようという意識を持つことで、表現として成り立つ。それが合唱の面白さだと真衣さんはうれしそうに言い、聡子さんも大きく頷いていました。合唱指導や伴奏で活躍している演奏家お二人ならではのワンポイントでした。
後半のミニコンサートは『ペチカ』『冬景色』など季節にちなんだ歌が披露されました。みなさん子供の頃から聴きなじんだ歌に小さく体を揺らしながら、懐かしそうに聴き入っていました。ロシア風の暖炉と焼き栗売りが風物詩となる昔の満州の冬の風景と、日本の農村の冬の一日の様子を比べる面白さもありました。
締めは森昌子の『越冬つばめ』でした。「ひゅ~るり~」という有名なサビが今日の強い風にぴったりです。窓の外はちょっとした吹雪ですが、やさしい歌とピアノの演奏にほっこりと心が温まるようなひとときでした。