お知らせ

幸町「ハッピータウン♪コンサート」

2024.1.24

風が冷たい今朝は、仙台市宮城野区幸町にある幸町第三市営住宅へ伺いました。この住宅と周辺にお住まいの方で構成される幸町町内会からの依頼です。地名にちなんで「ハッピータウン♪コンサート」と町内会長さんに名付けていただきました。
出演はクラシックギター佐藤正隆さんと小関佳宏さんです。風の中に小雪がちらつく中、15名の参加者が集まりました。こぢんまりとした集会室で、実にアットホームな雰囲気です。あまりの近さに初めは恥ずかしがっていたお客さんも、促すと「せっかくだからね」と最前列に移動してくださいました。

美空ひばり『川の流れのように』に始まり、ルビーラ『禁じられた遊び』、ベートーヴェン『エリーゼのために』と、よく知られた曲が新たなギターアレンジで演奏されました。ここでのギターの生演奏は初めてだったらしく、みなさん弦を爪弾く指の華麗な動きに注目しながら、耳を澄ませてしんしんと聴き入っていました。
ギターの仕組みや演奏家の爪の手入れについての解説がありました。右手は爪を伸ばし、左手は短く切っているという話に、みなさん「へえ~」と興味深そうにしていました。

八代亜紀『舟歌』と滝廉太郎『花』はご一緒に歌っていただきました。正隆さんが「みなさん上手ですね、練習してきたんですか?」と笑わせていました。そしてサプライズとして、1月生まれのSさんとOさんにと『ハッピーバースデー』の演奏が始まって、みなさん大きな声で歌い、祝福の拍手を贈っていました。
また、アレンジものではなく純粋にギターのために作られた曲も紹介したいと、佐藤弘和『HOPE』『赤とんぼ幻想曲』も披露され、ギター2本が生み出す豊かなハーモニーやさまざまな表情の音色が会場いっぱいに満ちました。ギターが“小さなオーケストラ”とも言われることを実感できたのではないでしょうか。

本編のプログラムが終わり、アンコールへ行こうとしたところ、「さっきの『舟歌』をギターだけで聴いてみたいです!」と声が上がりました。お二人は「よろこんで」とふたたび演奏し、お客さんは改めて噛みしめるように味わっていました。
すると、最高齢99歳の方が手を挙げて言いました。
「私は樺太で育ったのだけれども、戦争に負けて引き揚げてくるときに覚えた歌があって、それを弾いてもらえませんか?」
と、ロシア民謡『カチューシャ』をロシア語で口ずさみました。突然のリクエストでもちろん楽譜の用意はないところ、お二人は「やってみましょう」と即興で演奏し、大喝采を浴びていました。朝鮮民謡の『アリラン』も聞きたいとの要望には「これは次回までの宿題にさせてください」と応えていました。
用意して来たアンコール曲は中島みゆき『糸』です。タイトルを告げると「ああ…」と嬉しそうなため息が聞こえてきました。しみじみと温かい空気が流れます。今日のこの小さな集いにふさわしいエンディングでした。
あっという間の1時間、参加者は「楽しかったです!」「また来てね」と笑顔で帰っていきました。