お知らせ

荒井東「音楽サロン」_5月

2024.5.21

仙台市若林区にある復興公営住宅の荒井東市営住宅町内会からの依頼で
2018年4月から音楽を楽しむ会をお届けしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

荒井東市営住宅の花壇は四季折々に花が咲いていて、今はラベンダーが花盛りでした。風薫る五月と言いますが、今日は風が強すぎて花壇の花や広場の草がちぎれんばかりにぶんぶんと振り回されていました。
さて、音楽リーダーのソプラノ鈴木真衣さんとピアノ田村聡子さんは今日も朗らかに登場しました。
まずはウォーミングアップで腕や肩を回したり、脚や腰を軽くたたいたり。肩をぎゅっとすくめて一気に脱力すると、ため息と一緒に肩こりが飛んでいきますね。
さあ5月の風のように体が軽くなったところで、歌のコーナーに移りました。
4月に完結する予定だった瀧廉太郎『花』が諸般の事情で本日に持ち越しとなっていたので、のど慣らしに歌いました。集会所前広場の桜は花の面影もなくすっかり葉が茂っていますが、せっかくなので聞いててくださいね。

「向こうの建物に当てるつもりで声を出しましょう」と、楽譜を持つ手を最大限伸ばすようにして歌ってみますと、声が明るく伸び伸びと流れ出て来ました。真衣さんは「みなさん、大きな声を出すことに慣れてきた様子がありますね!」とうれしい驚きを隠せない様子でした。継続は力なり、ですね。

続いては『みかんの花咲く丘』『野に咲く花のように』を歌いました。
どちらの歌もおなじみですし、お好きな方がいらしたので、なおのこと歌声が元気よく明るく響きました。どこまでも広がる海や花畑が目に浮かぶようで、気持ちが晴れ晴れとしました。
参加者のみなさんが主旋律を歌うところに真衣さんがハーモニーをつけて、重唱の豊かさと楽しさも味わえました。

後半のミニコンサートで、真衣さんは戦後の流行歌『港が見える丘』を歌いました。
『みかんの花咲く丘』からの連想で、丘にちなんだ選曲です。タイトルを言うや否や「あ、知ってる!いい歌だよね」とさっそく歌を口ずさみ始めた方がいました。お好きな様子で何よりです。花のように散った恋の思い出を歌うせつない歌詞がジャジーなメロディと相俟って、しっとりとした雰囲気が漂いました。

聡子さんはピアノ独奏で『峠のわが家』を演奏しました。
みなさんはタイトルを聞いて「あれ?どんな歌だっけ?」とハミングしはじめたのですが、『旅愁』や『ケンタッキーのわが家』などが聞こえてきました。似て非なる歌がけっこうありますね。惜しい!聡子さんがピアノを弾きはじめると「あ~!」と腑に落ちた声が上がりました。はい、これです。ゆったりとした温かなメロディに乗って窓から見える草や木も一緒に揺れているようでした。
アンコールでは賑やかに『恋のバカンス』が披露されました。低音の効いたダイナミックな伴奏に真衣さんと聡子さんがハーモニーをのせて、夏を先取りするかのようなパッションあふれる演奏に大きな拍手が沸きました。

サロンが終わると、或る方が「あ~今日もたのしかったです!」と満足そうな笑顔を見せていました。また或る方は「今度、○○○を歌ってみたいな…」とリクエスト。真衣さんは「あ、いいですね!やりましょう」と応えていました。こうしてみなさんと一緒に作っていくのが楽しい音楽サロンです。また来月もお待ちしています!