お知らせ

荒井東「音楽サロン」_6月

2024.6.18

仙台市若林区にある復興公営住宅の荒井東市営住宅町内会からの依頼で
2018年4月から音楽を楽しむ会をお届けしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

連日暑かったこの頃でしたが、今日はほどよい曇り空でほっとしました。しばらく休んでいた方が久しぶりに顔を出して「またよろしくね」と見せたその笑顔にもほっとしました。さあ、音楽リーダーのソプラノ鈴木真衣さんとピアノ田村聡子さんと一緒に、楽しく歌っていきましょう!
聡子さんが持ち込んだあじさいの造花を見て「こういう深い青色を出すのは難しいんだ…挿し木しても色が変わっちゃう」と園芸うんちくを語りだしたSさん。この町内会の園芸部員として花壇の手入れに余念がない方です。ちなみに、ここのあじさいはピンク色でした。
さて、まずはウォーミングアップです。手、足、背中、腰とリズミカルに叩いて体を目覚めさせます。パン!パン!という音とピリッとした振動で、体も気持ちもシャキッとする感覚がありました。
両腕を後ろに回して椅子の背もたれをつかみ、そのままゆっくり前傾すると、肩甲骨まわりと胸まわりをほぐす効果があります。各自、体の硬さ柔らかさに応じてこの新しいポーズに挑戦していました。

今日の1曲目は『You Are my sunshine』です。前月に参加者からリクエストされた曲でした。
真衣さんは「楽譜は目の高さに持ち上げて、脇の下にボールを入れるようなイメージで」と姿勢についてアドバイスしました。ともすると猫背になりがちな日常なので、歌うときは気をつけたいポイントです。腕を持ち上げると、肋骨まわりが広がって呼吸も楽になるし、何より声が前方に飛びます。
「高い音は声のボールをえいやっと投げるつもりで」とのことで、投球するしぐさに合わせて、みなさんは「ユーメイクミ―ハーッピー!」と声を張り上げていました。
続いて、この時季にちなんで『バラが咲いた』『夏の思い出』を歌いました。
「『バラが咲いた』はサン=テクジュペリの『星の王子さま』にインスパイアされてできた曲です」「水芭蕉は、じつはあまり良い香りはしません」などなど、真衣さんは曲にまつわる豆知識をいろいろ繰り出し、みなさんは「へええ~」「あらそうなの!」と興味深げでした。

後半のミニコンサートでは、まず聡子さんがピアノソロで『オーラ・リー』を披露しました。「知らない曲名だ」という声に「もしかすると『ラブ・ミー・テンダー』のほうが馴染みがあるかもしれませんね」と、曲の解説をしました。演奏が始まると「ああ、これか!」とご納得の様子で、甘やかな調べに耳を傾けていました。
続いて真衣さんは昭和のヒット曲『ミスター・サマータイム』の原曲『Une Belle Histoire』をフランス語で歌いました。しみじみと聴き入っていた或る方が「この歌、亡くなった主人が好きだったんです」と、驚きと感激が混ざった様子で言いました。もしかして空の上からリクエストしてくださったのでしょうか。

2022年7月から丸2年にわたり音楽リーダーを務めてくださった真衣さんは、今日でいったんご卒業となります。最後にみなさんへの贈りものとして『When You Wish Upon a Star(星に願いを)』を歌いました。夜空にきらめく星のように、音楽も国を越え時代を越えていつもみなさんのそばにありますよう、そしてみなさんがこれからもお元気でありますようにとの願いを込めての選曲でした。心をこめて演奏するお二人の姿に、この2年のさまざまなことが思い出されました。

終演後、町内会からラベンダーの小さなブーケが贈呈されました。
ここの花壇で丹精込めて育てられたものです。園芸部のSさんは「ちょっと花が咲きすぎちゃったね。咲きはじめだともっと香りがするんだよ」と残念がっていました。それでも充分に香りがしていますよ。出口では別れを惜しむみなさんと真衣さんが言葉を交わす様子がありました。
真衣さんはいつも朗らかで気さくな様子で、楽しいお話しとわかりやすい指導でこの音楽サロンを盛り上げてくださいました。おかげさまで、初心者も合唱経験者もともに歌を愉しむことができました。心から感謝申し上げます。どうもありがとうございました!