お知らせ

メモリアルコンサート vol.45

2024.8.11

音楽の力による復興センター・東北では
東日本大震災の月命日にあたる11日に、市民のみなさんとともに
音楽を通じてあの日に思いを馳せる場を設けたいと考え、
「メモリアルコンサート」を企画制作しています。
(主催=仙台市/協力=せんだい3.11メモリアル交流館)

今日は台風接近中で不穏な雲行きでしたが、なんとかぎりぎり雨は降らずにいてくれました。本日予定されていた荒井地区の夏まつりはあいにく中止となってしまいましたが、メモリアルコンサートは予定通り開催しました。もしやお客さんが来ないかも…と心配しましたが、無事満席となりました。
出演はフルート芦澤曉男さん(仙台フィルハーモニー管弦楽団)とマリンバ熊谷昇子さんです。復興コンサート活動に数多く参加してきたお二人です。芦澤さんは今回メモリアルコンサート初登場、昇子さんは2018年にマリンバデュオ桜二重奏としても出演したので、6年ぶりの登場となりました。

オープニングは元気よく『三百六十五歩のマーチ』に乗って、お二人が行進して現れました。芦澤さんはソプラニーノリコーダー、昇子さんはタンバリンを携えています。意表を突く登場にお客さんは喜び、演奏に合わせて一緒に歌って、会場はさっそく一体感に包まれました。

続いては本居長世/林光『七つの子変奏曲』、映画音楽『ニュー・シネマ・パラダイス』メドレー、そして、日本の唱歌メドレーが演奏されました。どの曲もノスタルジーをかきたてるものです。フルートとマリンバの奏でる音色は、柔らかでやさしく、ぬくもりがあって、みなさんは音に包まれながらリラックスしていました。特に、マリンバの響きが聴く人の身体に伝わって、心地よい振動として感じられていた様子でした。

 

また、祭りの笛を思わせるようなコブシの効いたピッコロ、縦横無尽なマレットさばきなど、見どころ聴きどころがたっぷりで、新鮮なおどろきをもって聴いている人もいました。
芦澤さんは「いま僕たちが生きているこの地球という星に思いを馳せる時間があってもいいかな、と思って選びました」と語り、村松崇継『EARTH』が演奏されました。7分に及ぶ大作ですが、時に穏やかに、時に激しく、さまざまな風景が浮かんでくるようでした。
世界では自然災害が頻発し、戦争は続いています。平和に安全に暮らしたいというささやかな希望が、多くの人々にとって叶わぬものになりつつあります。お二人の演奏は切なる祈りのようでもあり、聴く人への問いかけでもあるように思われました。

アンコールは山田耕筰『この道』でした。芦澤さんは「この曲を聴くと、自分の親のことを思い出します」と言いました。もうすぐお盆、今は遠くに行ってしまった人びとのことが思い出される季節です。
お客さんの声をご紹介します。
「フルートとマリンバの演奏をこんなに近くで聞いたのは初めてで、どちらもとても美しい音色で感動しました。気持ちが穏やかになれた気がします」
「アンコールの『この道』を聴き、両親のことを考えました。私は親の愛にめぐまれないと思っていたのですが、そうではないことに気がつきました。今日は来てよかったです」
「温かい響きに心が洗われました。お盆も近く、懐かしい童謡の調べにみんなふるさとの海に戻ってきてくれるだろうなあ、この道を迷わずに…。台風が接近し、海が荒れていますが、荒浜のやさしい風を感じる時間でした」

芦澤さん、昇子さん、ご来場の皆さん、こころ温まるやさしい時間をありがとうございました。