お知らせ

荒井東「音楽サロン」_8月

2024.8.20

仙台市若林区にある復興公営住宅の荒井東市営住宅町内会からの依頼で
2018年4月から歌を楽しむ会をお届けしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

今日は、夕方からこちらの荒井東市営住宅で盆踊り大会があるそうで、同じく若林区内の広瀬川流域では灯篭流しが行なわれるという、お祭りモードの日です。その気分をさらに盛り上げようと、音楽リーダーのメゾソプラノ後藤優子さんとピアノ田村聡子さんは浴衣姿で登場し、サロン参加者のみなさんは「あら、素敵ねえ~!」と感嘆の声を上げて二人を迎えました。
また、この2年ほどすっかりご無沙汰していた方が「今日はデイサービスが休みだったからさぁ…」と顔を出してくださり、今度は演奏家のお二人が「お久しぶりです~!」と歓喜の声を上げていました。うれしい再会です。
恒例のウォーミングアップをしたあとは、唱歌の『我は海の子』にのせて振付をお試しいただきました。踊りと見せて、肩を回したり胴をひねったり、ここにも身体ほぐしの要素がたくさん入っていました。2回ほど踊った後は、声が伸び伸びと出るようになって、曲想にふさわしい歌いぶりとなりました。

『静かな湖畔』では3組に分かれて、輪唱にチャレンジ。みなさんけっこう面白がって、歌い終わるたびに「お、いいねえ!」と拍手が沸きました。輪唱は合唱ほど難しくなく、かつ声の重なりが充分に楽しめるので、おすすめです。
さて、続いては本日のメインイベント、かつて島倉千代子が歌った『七夕おどり』です。集会場に和太鼓があったので、拝借してスタッフが叩きますと、「お、祭りの気分が出るねえ!」とみなさんスイッチが入った様子。或る方は「楽しみにしてたの~」とさっそく踊り出しました。普段は杖をついて歩いている方なのですが、踊りとなるとシャキシャキと動いて、振りも完璧なのです。お見事。
一方で、仙台出身でない方々は「仙台の盆踊りは島倉千代子が歌うなんてハイカラだねえ」と感心していました。

後半のミニコンサートで、まずは聡子さんが「夏と言えば、このバンドですね!」と、サザンオールスターズの『いとしのエリー』を独奏しました。イントロが始まると誰かが「あら嬉しい!」と言い、みなさん懐かしそうにうっとりと聴き入りました。さっきまでのお祭り気分が落ち着いて、透明感のある演奏にすうっと汗が引いてゆくようでした。
続いて、優子さんは「今日はひばりちゃん特集をお届けします」と、『港町十三番地』『真っ赤な太陽』『お祭りマンボ』を熱唱し、会場はふたたび賑やかな熱い空気に包まれました。
アンコールでは2019年の紅白歌合戦でAI美空ひばりが登場して話題になった『あれから』が演奏されました。歌の合い間に「あなたのことを見ていましたよ、頑張りましたね」というセリフがあり、ここに集うみなさんの来し方が思い起こされて、ぐっとこみあげてくるものがありました。参加者のみなさんは歌の言葉をかみしめるようにして、じっと聴き入っていました。お盆が過ぎたばかりでもあり、思い出される人や風景が胸の中に去来します。

サロン終了後は出口で話が弾みます。「美空ひばりにミニスカートを貸したのは中村メイコなのよ」「うちのお父さんの声は霧島昇に似てるのよ」など、いろいろな話が聞こえてきました。夕方の盆踊りも楽しんでくださいね!それではまた来月。