お知らせ

メモリアルコンサート vol.46

2024.10.11

音楽の力による復興センター・東北では
東日本大震災の月命日にあたる11日に、市民のみなさんとともに
音楽を通じてあの日に思いを馳せる場を設けたいと考え、
「メモリアルコンサート」を企画制作しています。
(主催=仙台市/協力=せんだい3.11メモリアル交流館)

気持ちの良い秋晴れの日となりました。今日の出演はフルート千葉展子さんとギター小関佳宏さんのデュオです。展子さんはフルートのほかにオカリナ、アルトフルート、鍵盤ハーモニカを用意してきました。
まずオープニングで山田耕筰『赤とんぼ』がオカリナで演奏され、その温かな音色がお客さんをほっと和ませる様子がありました。
小関さんが編曲した久石譲『人生のメリーゴーランド』では、原曲のアコーディオンの雰囲気を出したいと思って、展子さんは今回のために新しく鍵盤ハーモニカを購入したのだそうです。
曲の途中でフルートとすばやく持ち替え、そのタイミングをさりげなくギターでサポートする小関さんと、息の合った演奏を披露しました。あとで「ピアニカのところで思わずうるっと来ました」と言うお客さんがいました。

岡野貞一『故郷』は手話を交えて、みなさんで歌いました。
展子さんのわかりやすい説明にみなさん「なるほど~」「そうか~」と、手話のなりたちの意味に感心し、興味深そうにしていました。おなじみの歌も手話を取り入れると新鮮に出会うことができますね。みなさん伸び伸びと手を動かし、おおらかに歌って、会場に気持ちの良い風が吹くようでした。

フルートとギターの組み合わせはちょっと珍しいのですが、温かな響きと音色が合わさって、とても相性の良い楽器だということがわかります。ピアソラ『オブリビオン』では殊にアルトフルートの柔らかな響きを堪能していただきました。「忘却」という邦題がつくこの曲には温かさと冷たさの二面性があると展子さんは言い、数年間に演奏した同じ場所で、いま再びこの曲を演奏できる嬉しさを語りました。

プログラムの最後は小関さんが編曲したビゼー『カルメン・ファンタジア』でした。ギターが出演するときには男性客が増える傾向にあるようですが、今日もやはり小関さんの指さばきを熱心に見つめる男性の姿がありました。
時に激しく、穏やかに、透き通るように、緩急自在の演奏に釘付けでした。フルートも時に力強く、やさしく、色彩豊かに応じ、オペラの名場面が目に浮かぶようでした。
演奏後、お客さんからのコメントには
「心ゆたかな秋のひとときでした。曲ごとにイメージや記憶が広がり、感情が深まる貴重な時間でした」
「初めてメモリアル交流館に来ました。お二人のステキな演奏でとても癒されました。今日は来て良かったです」
など、すてきな演奏への感謝の言葉が数多く綴られていました。演奏家の笑顔とユーモアあるトークに魅了され、「お二人のファンになりました」と書いた方もいました。
今日の空のような、明るく清々しい穏やかさをともなった気持ちでコンサートを終えることができました。みなさん、ありがとうございました。