お知らせ

田子西「うたカフェ♪」_10月

2024.10.18

仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では
町内会主催のサークル活動として、この住宅とその周辺にお住まいの方々の
交流の場「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌を楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、音楽リーダーをコーディネートしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

小雨模様の金曜日となりました。会場では早くから、音楽リーダーの仙台オペラ協会ソプラノ松本康子さんと岩瀬りゅう子さん、ピアノ富樫範子さん、そしておいしいコーヒーを提供してくださる喫茶ひこマスター西垣さんが、それぞれに準備を進めています。
うたカフェの時間が近づくと雨がやみました。ちょっと離れた別の復興公営住宅や防災集団移転地区から徒歩でやってくるご高齢の方がいますので、雨が降っていないことはとてもありがたく感じます。

準備体操で、松本さんは「今日はハロウィン体操をします」と言い、両腕をぶらぶらさせて「右に『おばけだぞ』、左に『おばけだぞ』、正面向かって『あっちいけ』…」と、動きを説明しました。面白い体操ですね。
手首をだらりと脱力してみると、腕の重さが伝わってきます。前後左右に大きく動かせば背中や脇腹も伸びて、血流がよくなりました。

体が温まったところで、『ちいさい秋みつけた』を歌いました。みなさんにはおなじみの童謡ですが、今日は歌としての表現を意識したアドバイスがありました。「誰かさんが」ではわくわく感を持ち、「ちいさい秋」のくり返しは徐々にクレシェンドしていきます。
「目隠し鬼さん…」は繊細に、静かに歌いはじめて、最後の「ちいさい秋みつけた」は大きく盛り上げました。静かにささやくように歌うことで、この歌詞の持つ世界観と言いますか、くすんだ色あいの光景が目に浮かぶような効果があったように感じました。
続いては、「野口雨情メドレー」として、『七つの子』『シャボン玉』『赤い靴』など、大正時代から受け継がれている名曲を6つ歌いました。独特の哀愁をはらみつつ、歌えば心がおだやかになる歌ばかりです。
『船頭小唄』ではまず1番を男性参加者だけで歌っていただきました。松本さんいわく「背中に哀愁を漂わせて歌ってください」とのこと。難しい注文ですね。西垣さんや町内会長さんはじめ、数名の方ががんばってくださいました。

『証城寺の狸囃子』では「ぽんぽこぽんのぽん」に合わせて、みんなで複雑なリズムを手拍子したり足踏みしたり、まるでフラメンコのような激しい狸囃子になりました。みんなで息を合わせて、最後の足踏みがドン!と決まると、「おおー!」と自賛と歓喜の声が上がりました。

秋はコーヒーが一段とおいしく感じられます。西垣さんの淹れたコーヒーで一服したのち、松本さんと岩瀬さんがロッシーニ作とされる『猫の二重唱』を披露しました。いかにも猫らしい可愛らしいしぐさやケンカする様子に客席からくすくす笑いがもれました。そして最後は日本語版の『ケ・セラ・セラ』をカンツォーネばりに歌い上げ、大きな拍手の中でお開きとなりました。
お帰りの際、「歌詞カードを1枚もらってもいいかしら?」と言う方がいました。今日、用事があってこられなかったご友人へのおみやげにするのだそうです。どうぞどうぞ、笑顔と歌のおすそわけ、よろしくお願いします。ぜひご自宅でも歌ってみてくださいね。