お知らせ

〈こんにちはコンサート〉ケアハウス松香の郷へ

2025.1.15

仙台市では、新しい音楽ホールと中心部震災メモリアル拠点の複合施設を整備する計画を進めています。
この施設では『文化芸術を子育て・教育・福祉・まちづくりなどに生かす』ことを大きなテーマとし、
開館を前にさまざまな取組みを行ないます。その一つ「こんにちはコンサート」は、
アウトリーチ事業モデルの構築を目的とする事業です。

今朝は仙台市泉区のケアハウス松香の郷にうかがいました。この施設はもともと沿岸部の若林区荒浜にあったのですが、東日本大震災の津波で被災し、2014年に現在の場所へ移転しました。施設の名前の「松」には荒浜の地への思いが込められているのでしょう。

本日の出演はソプラノ佐藤瑛利子さんとピアノ原田満梨奈さんです。お二人はこの施設のおとなり、泉中央南市営住宅での「歌声サロン」で毎月、息の合った演奏を披露してくださっています。今日は初春のお祝いの意味を込めて、紅白のドレスで登場しました。
カンツォーネ『フニクリ・フニクラ』の軽快かつ朗々とした演奏で華やかに幕を開けたコンサートは、オペラアリア、日本歌曲、唱歌、シャンソンなど多彩なプログラムでした。

 

中盤では、軽い体操をしたあとに『憧れのハワイ航路』『三百六十五歩のマーチ』など、懐かしの歌謡曲をみなさんにもご一緒に歌っていただきました。
『あわて床屋』で瑛利子さんはカニとウサギのやりとりをコミカルに演じ、『バラ色の人生』で満梨奈さんは即興による伴奏を華麗に披露しました。

お二人の演奏と人柄に魅せられて、みなさんはうっとりと聴き入っていました。最後には頭上に腕を持ち上げて拍手する姿もあり、また、客席から「久しぶりに声を出して歌って、嬉しかった!」「そんなきれいな声を出すにはどんなものを食べるの?」などの声がありました。
お見送りのときに、或る方は歩行補助の手押しカートを押しつつも駆け足でやってきて、「楽しかったー!」と飛びつくような勢いで演奏家を抱きしめていました。或る人は、歌が上手かった兄弟の話や、子どもの頃の思い出を懐かしそうに話していて、演奏家のお二人はその語りに耳を傾けていました。
音楽には人を元気にする力があることを目撃した瞬間でした。みなさん、ありがとうございました。