お知らせ
荒井東「歌声サロン」_3月
- 2025.3.18
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仙台市若林区にある復興公営住宅の荒井東町内会からの依頼で
2018年4月から歌を楽しむ会をお届けしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)春らしい青空の午後、とは言え、空気はまだまだヒヤっと冬の寒さです。「今日は、寒いねえ~」「中はあったかくしておきましたよ~」そんな会話を交わしながら、住民のみなさんを出迎えました。桜の花で飾られた会場で、ひと足早いお花見気分です。
今日も音楽リーダーは、メゾソプラノの後藤優子さん、ピアノの田村聡子さんのお二人。まずは体ほぐしの時間。肩を回して肩甲骨を緩めたり、「ウー」「イー」の口の形を少し大袈裟に繰り返して、口の周りの筋肉をほぐしたり。「ウー、イー、ウー、イーーーーのお顔で、そのまま伸ばします~はい!”カシャッ!”」写真を撮る真似をする優子さんのユーモアに、思わず笑い声がこぼれます。ストレッチと発声練習が終わると、みなさん口々に「暑くなった!」「体あったかくなったねぇ~!」あっと言う間にぽかぽかしてきて、歌う準備もばっちりです。
みんなで歌う時間は、岡本敦郎さんが歌った「朝はどこから」を1曲目に。昭和21年3月、敗戦直後の日本を励ますため、朝日新聞が健康的なホームソングを全国に募集し、一等となったのがこの曲だそう。昭和30年代生まれの方は「え~知らない~」とのことでしたが、「小学校の頃、学校で歌ったわ」という方も。明るいはつらつとしたメロディに、初めての方もすぐ一緒に口ずさんでいました。続く「いい日旅立ち」は、優子さんが「みなさん!歌いだしの雰囲気からして、お上手!」と褒めてくださったほど。「高校三年生」は舟木一夫さんが歌ったことで有名ですが、元々は岡本敦郎さんが歌う予定だったとか…?みんなで意気揚々と歌った後に、男女子校生が体操服でフォークダンスを踊る、歌詞カードのイラストにある方が「この絵は、宮城県じゃないねぇ、どこも別学だもんね」そう言われれば!「そういえば、中学校でも手をつなぐのが嫌だったから、紐の端と端を持って踊ったのよ」なんてエピソードも飛び出しました。懐かしい曲を聴くと、それぞれ思い出が次々と浮かんで、気持ちも若返るような気がしますね。
ミニコンサートの選曲は「春の歌」特集に。別れと出会いの季節には、数えきれないほど、たくさんの名曲がありますね。まず最初は、太田胃散のCMで有名な、ショパンの「前奏曲」op.28-7を聡子さんのピアノソロで。なんとこの曲の楽譜、たった3段で終わってしまうほど短く、世界一短い曲とも言われているそう。実際にその楽譜も見せていただき、みなさん「へぇ~!」とびっくり。「前奏曲」と言われても、ピンときませんが、演奏が始まるとやはり聴いたことがあったご様子で、頷きながら聴いていらっしゃいました。その後の歌のプログラムは、みなさんに曲目を当てていただく方式
に。まずは「3人組が歌う春の曲と言ったら…」少ないヒントでも当ててしまう人もいらした、キャンディーズ「春一番」!すっかり解れたみなさん、自然とリズムを取りながら楽しんでいらっしゃいました。続いては、山口百恵さんが引退の時に歌った「さよならの向こう側」。「ファンの方にも、出会った方全てに対しても」感謝を込めて歌った、というこの曲を、優子さんは「みなさんに出会えた感謝を込めて…」と。最後は百恵さんのように、マイクを床に置いてステージを立ち去るパフォーマンスも…聡子さんに「どこまで行くの~」と言われて、振り向く優子さんに、みんなで大笑いでした。
最後は今日の会場に相応しく”桜の歌”を。坂本冬美さんの「夜桜お七」は、歌の途中でがらりと雰囲気が変化します。聡子さんのピアノも、優子さんの歌も、さすがにかっこいい!聴いている皆さんも、ノリノリでした。そしてたくさんの拍手にアンコールは…?”桜”繋がりで、谷村新司さん、加山雄三さんの「サライ」が。一緒に口ずさまれる方もいれば、自然と身体が右に左にと揺れながら耳を傾ける方も。ペルシア語で「家」または「宿」を意味するこの言葉は、この曲の中では「砂漠の中のオアシス」の意味も込められてるそうです。愛する故郷を遠くから、いつか帰るから、と歌う歌。町が桜色に染まる季節が、一層待ち遠しくなりました。次回は5月の開催となる荒井東「うたごえサロン」。少し間が開いてしまいますが、また元気でお会いしましょう!