お知らせ

メモリアルコンサート vol.48

2025.4.11

音楽の力による復興センター・東北では
東日本大震災の月命日にあたる11日に、市民のみなさんとともに
音楽を通じてあの日に思いを馳せる場を設けたいと考え、
「メモリアルコンサート」を企画制作しています。
(主催=仙台市/協力=せんだい3.11メモリアル交流館)

仙台では桜が満開になり始めている今日この頃。今年度最初のメモリアルコンサート、出演は山形在住のトリオ「いち、に、の三重奏」のヴァイオリン駒込綾さんとヴィオラ村井薫さん、そしてチェロ加藤皓平さんです。はるばる山形からいらしたお三方ですが、気仙沼での復興コンサートで度々ご縁があるなど、宮城の各地にも素敵な音楽を届ける活動を積極的にされている方々です。

オープニングは、駒込さんのマイクがいらないほど溌溂としたお声でのメンバー紹介から始まり、プログラム1曲目はパリのシャンゼリゼ通りを歌った『オー・シャンゼリゼ』で明るく華やかに幕開けしました。続いて演奏された加藤さん作曲の『押切の雪解け』は、実際に加藤さんが住んでいる尾花沢市押切の雪深い情景に喚起されて作曲されたとのこと。春の訪れを待ちわびる気持ちを表しているようなしっとりとしたメロディーに、お客さんはじっくり聴きいっているようでした。加藤さんは2016年から地域おこし協力隊として尾花沢に移住され、今ではなんとスイカ農家として定住されているそうです。チェリストと兼業農家という二刀流の生活をされているお話を聞いて、お客さんも「ほ~!」と驚いている様子でした。

そしてコンサートの中盤では、駒込さんの軽妙なトークを交えながら、『ラデッキー行進曲』をお客さん参加型で演奏しました。演奏しながらの合図はちょっと難しいので、駒込さんが「私が立ったら大きい手拍子、中腰になったら小さい手拍子、座ったら手拍子やめる!皆さん、お願いしますね~!」とお客さんにオーダー。すると、お客さんもそのオーダーに応えて演奏者の姿勢の合図に瞬時に反応し、練習無しのぶっつけ本番でしたが演奏者とのコラボを見事にこなされていました。でも、中腰の姿勢の時は演奏者のお三方がけっこう辛そうで、クスッと笑っているお客さんもいました。

続いては、駒込さんがコロナ禍での様々な思いを込めて作曲したオリジナル曲『その先に』、そして駒込さん自身が気仙沼の復興コンサートで出会った方々との思い出を語られ、その気仙沼に震災後ゆかりのあるさだまさしさんの『奇跡』を演奏しました。『奇跡』のメロディーを奏でるヴァイオリンの音色が、まるでさだまさしさんの歌声のように聴こえてきて、歌詞はない楽器だけの演奏なのに、歌声が聴こえてくるような情感溢れる演奏に酔いしれました。

最後は、この季節にふさわしい『早春賦』や『朧月夜』の日本の歌メドレーを会場の皆さんと一緒に歌いました。そしてアンコールは葉加瀬太郎の『情熱大陸』。お馴染みの曲が聴けて、皆さんとても楽しそうでした。

終演後にお客さんから寄せられたメッセージには「加藤さん駒込さんオリジナルの曲も心にしみる良い曲でした」「(演奏に)一緒に参加した気になり嬉しかったです」「震災のイベントを見に来て、思いもかけず素敵な音楽も聴けてラッキーでした」など、素敵な演奏への感謝の言葉が多く綴られていました。

「いち、に、の三重奏」の皆さん、ご来場の皆さん。春の陽気のように明るく、そして楽しい時間をありがとうございました。