お知らせ
「菜の花フェスティバルinおおさき」へ
- 2014.5.10
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宮城県北西部の山あいに、鳴子と川渡という温泉郷があります。
宮城県沿岸部で被災した方の二次避難先として2011年11月までにのべ数万人が身を寄せていたそうです。慣れ親しんだ土地を離れて海からはるか遠いこの町に来た被災者を励まそうと地元の方々が始めたのがこの「菜の花フェスティバル」です。以来、地域交流の機会として毎年継続しています。
江合川の川渡大橋のたもとには一面の菜の花が今を盛りと咲き誇っていました。
ときおり雲間から太陽が顔を見せると、菜の花も川面も文字通り輝いて、うっとりとするような光景です。
「このあたりは、雨の後に決まって風が吹くんですよ」と実行委員の方が言うように、台風以上の猛烈な風が吹きすさんでいます。昨夜の雨が風を連れてきたんですね。フェスティバルは、会場全体で震災の犠牲者を追悼して黙祷を捧げての開会でした。
今日は「菜の花復興コンサート」として仙台オペラ協会から3名(ソプラノの齋藤翠さんと及川亜紀子さん、バリトンの鈴木誠さん)と、ピアノ伴奏に小川菜摘さんが出演しました。特設トラックステージではよさこい踊りや御神楽、日本舞踊など一日中いろいろな出し物が行なわれています。
お祭りですから、お客さんは飲んだり食べたりしながらのんびりとステージを眺めています。しかし、齋藤さんたちが歌い始めた途端、お客さんがぐっと集中したように見えました。「わあ、良い声だねえ」「どうやったら出るんだろう」とどこからともなく聞こえてきました。よちよち歩きの子が歌に合わせて踊っている姿も見えました。
子供も喜ぶ「いつも何度でも」「鬼のパンツ」、モーツァルト「フィガロの結婚」やプッチーニ「ジャンニ・スキッキ」「トゥーランドット」の本格的なオペラ曲、「朧月夜」などの唱歌を独唱、二重唱、三重唱と編成を変えて披露しました。演奏中も絶え間なく容赦なく暴風が吹きつけて、ステージが揺れるほどでした。楽譜があやうく飛びそうになり、出演者全員が手分けて必死に楽譜を押さえ続けました。お客さんもびょうびょうと風に吹かれながら聴いていました。
最後の曲は宮城県ご当地ソングの「青葉城恋唄」。多くの人が一緒に口ずさんだり、拍子を取る様子が見え、終わった瞬間、大きな声で「アンコール!!」が掛かりました。
演奏後は大崎市のゆるキャラ、パタ崎さんから演奏者に花束が贈られました。ステージを降りると実行委員の方やスタッフが駆け寄って来て、次々と手を差し伸べては「ありがとう」「素晴らしかったです」「また是非来てください」と出演者と固い握手を交わしていました。