お知らせ

気仙沼その5_旧唐桑小学校住宅へ

2014.6.24

 旧唐桑小仮設住宅全景仙台フィルから首席オーボエ奏者 西沢澄博さん、チェロ奏者の山本純さん、そしてピアニストの阿部玲子さんによるトリオ。2日間で5公演というハードな日程も、とうとう最後となりました。
ここは70世帯が暮らす旧唐桑小学校住宅。ここの集会所はプレハブという感じではなく、一般住宅の少し広めリビングという感じの部屋です。
西沢さんがサン=サーンスの「オーボエ・ソナタ」から第2楽章を演奏しました。IMG_3780-
歌謡曲や日本のうたもみなさんに喜んでいただいている一方で、今回のツアーではクラシックの曲を演奏すると、よく知られた曲、あまり知られていない曲に関わらず、お客さまの聴いてくださる集中の具合いが、それまでよりも一段高まるように感じました。100年、200年と演奏され続けても、今なお演奏される度に、新鮮に響くクラシックの曲たちというのは、やはりなにか時を越えて光り続けるような力があるような気がしました。
こちらでも、みなさん初めて聞く名前のオーボエ・ダモーレに興味津々です。オーボエと長さを比べてみると、確かに長さも違いますし、ベルの形が違うことが良く分かります。楽器について教えてもらってから音色を聴き比べると、より一層その個性の違いが伝わりました。
今回は生後9か月の小さなお客さまがいました。チェロの山本さんが弾くサン=サーンスの「白鳥」を、じっと楽器を見つめながら最後まで聴いていました。演奏が終わると、山本さんの頬も一層緩んでいました。
IMG_1912-終演後、さっきの小さなお客さまのママとお話ししていた山本さんが「やっぱり!どこかで見たことあると思ったんだ!」と言いました。なんと彼女はかつて仙台市内の大学在学中にオーケストラでヴィオラを弾いていたのだそうです。今は、実家のある唐桑に戻って別の仮設住宅に暮らしながら子育て中。こちらの仮設にはお母さまがお住まいで、今日山本さんがいらっしゃるということを知って、駆けつけてくれたのだそうです。思いがけない再会は、本当に嬉しいものですね。

そのあとはお世話係のみなさんとお茶のみ会をしました。「様々なボランティアの方がいらっしゃいますが、ほとんどの方は気仙沼までなんです」というお話しがありました。今は合併して気仙沼市に含まれるのですが、この旧唐桑町地域まで足を運ぶボランティアは本当に少ないのだそうです。「なので、今回は本当にありがたかったんです」とのことです。仙台から移動してくる分には、気仙沼まで来るのも唐桑まで来るのも10分、15分の違いです。それでも、3年が経った今でもそのような思いを抱いていることに驚かされました。 「きっと、また来ますので」とお話しをして別れました。IMG_3979-

西沢さん、山本さん、阿部さんとはここでお別れです。一日3公演というのは演奏家のみなさんにとってもハードな日程でした。それにもかかわらず、いずれの会場でも最初の一瞬でお客さまの心を引き付けてしまう演奏を本当にありがとうございました。現地コーディネーターの村上さんも「またきっと、いらしてくださいね」と言いました。「今度はあの曲が聴きたい!」という声もたくさんいただきましたので、また、お三方と一緒に気仙沼に伺いたいと思います!