仙台市東部の宮城野区田子地区にこの春完成した復興公営住宅では、住民の方々の入居作業も完了し、いよいよ新しいコミュニティづくりの段階に入ろうとしています。復興公営住宅支援を担当する宮城野区まちづくり推進課では、自治会の立ち上げへ向けた住民の意見交換会や各種説明会を行ないます。その最初の回となる今日は「まず素敵な音楽を聞いて和んでから話し合いをしよう」との趣旨で、「田子西はじめまして♪のコンサート」を開催しました。
出演は復興コンサートですっかりおなじみの杜の弦楽四重奏団（ヴァイオリン岡千春さん＆駒込綾さん、ヴィオラ齋藤恭太さん、チェロ塚野淳一さん）です。
会場の集会所は出来上がったばかりでほとんど備品がない状態です。椅子もカーテンも空調設備もありません。大きな窓から日差しが入るので室内の温度がどんどん上がります。窓を開け、クラフト紙を日よけにしての演奏会となりました。弦楽器に暑さや湿気は大敵です。或る住民の方が「こんなところで演奏だなんて申し訳ないです」と言いましたが、演奏家のみなさんは「高校の部室はもっと暑いから大丈夫」「慣れてますよ」と朗らかに対応してくださいました。
会場にはおよそ50名の方が集まりました。突然、「私のこと覚えてる？」と声を掛けられました。見れば昨年度の「花は咲く」合唱団メンバーの方でした。しばらくお目にかかってなかったので気になっていたのですが、プレハブ仮設住宅からこちらに転居したんですね。そのお元気そうな様子と「新居はけっこう快適よ」とのお話しに、私たちも安心しました。
モーツァルトに始まったコンサートはヴィヴァルディ、宮城県の民謡やご当地ソングと続き、その後は杜の弦楽四重奏団十八番の曲名当てクイズとなりました。参加者の回答は当たったり当たらなかったりでしたが、クイズ進行の塚野さんのトークにつられて終始笑い声が絶えませんでした。
坂本九メドレーを演奏すると、多くの方が自然と歌いはじめました。「見上げてごらん夜の星を」では目頭を押さえる方が何人かいらっしゃいました。

ここは本当にまっさらな状態なんだなとの印象を受けました。仙台に限らず、あちらこちらの被災地から集まってきた方々がこれからここで「自分たちの新しいまち」をつくっていくのです。このまっさらな集会所がみなさんにとって良き集いの場になっていってほしいと思いました。
復興センターでは今後もお伺いしようと考えています。どうぞよろしくお願いします。