仙台市と復興センターでは今年度、宮城野区田子西地区に完成した復興公営住宅にて「仙台市　音楽の力による震災復興支援事業」を展開していくことになりました。これから音楽を通じて新しいコミュニティづくりのお手伝いをしてゆきます。
今日は、先月の「はじめましてのコンサート」に続いて「夕涼みコンサート」をお届けに来ました。

出演は、いつもお世話になっているフルートの櫻井希さん、クラリネットの叶光徳さん、そしてピアノの藤井朋美さんのトリオです。
まだ自治会もなく、コンサート会場となる集会場には備品もそろってない状況で、もちろん冷房施設もありません。リハーサルはまだ陽のある時間帯でしたので、会場内が蒸し風呂のようです。窓全開に4台の扇風機をフル回転、楽譜が飛びそうになりながら、みなさん汗だくで頑張っていただきました。本当におつかれさまです！
やがて日が落ち、あたりが薄暗くなり始めたころ、住民の方々が三々五々集まってきました。中には「花は咲く」合唱団でご一緒している方もいます。「今日は夏休み最後の土曜日だから、孫を連れてきたの」という方もいます。およそ35名の方が座布団に座って演奏を楽しみました。ピアノを習っているという男の子は藤井さんの演奏をじっと見つめ、さかんに指を動かしていました。
エルガーやドビュッシーなどクラシックの名曲から始まり、カーペンターズ、山口百恵、井上陽水、財津和夫など懐かしいポップスが演奏されました。客席からは自然とハミングが湧いてきて、青春を思い出しているかような表情の方、眼を閉じて聴き入る方の姿もありました。歌のせつなさが夏の終わりの雰囲気と相まって、やがて来る秋を予感させます。いつしか網戸越しに涼やかなそよ風が入ってきて、すてきな夕涼みの宵となりました。
アンコールは「花は咲く」です。包み込むような楽器の響きに歌を口ずさむ声が溶け込み、会場に満ちてゆきました。
終わって外へ出ると、もうとっぷりと日は暮れています。街灯の下でバスケットボールに興じている親子の姿が見えました。
このおだやかな夕暮れに感謝したいと思いました。