お知らせ
【気仙沼②】ボラ宿若芽へ
- 2014.11.17
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仙台フィル《カルテット・フィデス》の気仙沼ツアー、第一日目の夜は南郷地区にある「ボランティア宿 若芽」へ伺いました。熊谷敬三さんが1階天井部分まで津波浸水した自宅を修繕し、気仙沼を訪れるボランティアの方々のための宿泊所にした家です。6畳間の座敷の襖を外して演奏会場としました。赤ちゃんからおばあさんまで年齢層も幅広く、ご近所の方々が16名ほど集まり、文字通り「アットホーム」な演奏会となりました。
「北国の春」を演奏するとき、ある方が「この歌で健康体操をやります!」と前に出てきました。演奏家が「ぜひみなさんご一緒に!」と促し、全員で合唱&体操が始まりました。みなさんの熱気で座敷の気温が上昇したように感じました。
この宿のご主人、熊谷敬三さんからのリクエストは「美しき天然」でした。堤防工事など、震災復興の名のもとに自然が壊されてゆくことを憂いていました。変わりゆく故郷を見つめる地元の方々の心境はさぞ複雑なことでしょう。哀愁を帯びたメロディが切々と心に染み入るようでした。
ところで、この家にはダックスフントのアレックスとイタリアングレーハウンドのはなという二匹の犬がいます。宿泊客にも可愛がられるマスコット的存在です。彼らのために、となんと弦楽四重奏版の「子犬のワルツ」がアンコール曲でした。
終演後、「ヴィオラ弾いてみませんか?」との勧めに或るママさんがトライ。「わあ、音が出た」とうれしがるママの足元で、お子さんがしきりに裾を引っ張っていました。「ぼくのママを取らないで」と楽器にやきもちを焼いちゃったんだね。その後はご主人に晩ごはんをごちそうになりました。こたつで鱈なべをみんなでつつきながら、いろいろな話をうかがいました。ご主人はその昔、マグロ漁船に乗って北はデンマークから南はケープタウン、オーストラリアまで世界中を仕事場にしていたとのこと。
手伝いに来ていたご近所のおばさまの「干してあるふかひれをカラスが盗っていくが、重くて落としてしまう。それを拾って友達とかじりついた」という気仙沼ならではのお話しに、「ほ~お」と演奏家のみなさんも興味津々でした。
楽しき団居、温かなおもてなしをありがとうございました!