お知らせ

【文化庁派遣事業】仙台市立秋保小学校へ

2014.12.1

*音楽の力による復興センター・東北は、
平成26年度文化庁芸術家派遣事業〔東日本大震災復興支援対応〕の
音楽プログラムをコーディネートしています。

ここ数日来の雨が降りしきる朝ですが、心配していた雪にならなくてよかったです。今日は仙台市立秋保小学校を訪問しました。出演は仙台オペラ協会のソプラノ齋藤翠さん、及川亜紀子さん、森明子さん、メゾソプラノ松岡朋美さん、そしてピアニストの掛田瑤子さんの5名です。IMG_20141201_112536
秋保小学校は全国的にも有名な秋保の温泉街を抜けたところにあります。全校児童およそ50名の小さな学校で、子供たちはまるで家族か親戚のように仲良く学校生活を送っています。町にはホールがなく、地区の人びとは舞台芸術に触れる機会がめったにないとのことで、児童のおじいちゃんおばあちゃんにもお声掛けしてごらんいただくことにしました。
IMG_20141201_104808オープニングで「いつも何度でも」の四重唱が始まると、子供たちの意識が一斉にすっ、と引きつけられたようでした。1年生も6年生もじっと見つめて聴いています。「どうしてこんなきれいな声が出るんだろう」と不思議そうな、また、心奪われたような表情をしていました。
わざと子供たちの間に入って耳元で声を聞かせると、多くの子が「わぁ!」「きゃはは」とくすぐったいような笑顔を見せていました。IMG_20141201_111333
今回は「せっかくの機会なので、本格的なオペラアリアも聞いてみたい」という学校からのリクエストもあり、ヴェルディ「乾杯の歌」、モーツァルト「恋とはどんなものかしら」、プッチーニ「私のお父様」「誰も寝てはならぬ」などを披露。どこかで耳にしたことのある有名なメロディに加え、ドレス姿のお姉さんがすぐ目の前で歌っているという臨場感も相まって小さな子たちも集中を切らさずに聞いていました。いつの間にか給食のおばさんたちも聞きに来ていました。
IMG_20141201_110031中盤で「さあ、みなさん一緒に歌いましょう」と演奏家にうながされ、みんな立ち上がりました。すると、森さんが「声を出すための準備体操をします」と言って、体をひねったり頬を動かしたり舌を出したりしてみせました。子供たちはちょっと恥ずかしがりながらも真似していました。準備が整ったところで、「ビリーブ」と校歌をみんなで元気よく歌いました。
最後は、季節にちなんだクリスマスソングメドレーで締めました。保護者席から「ブラヴォー!」の声が掛かりました。
終演後に質問コーナーでは、数名の児童が勢いよく手を挙げました。「どうやってそんな大きな声が出るんですか」「オペラを何年やっているんですか」「一日何時間練習するんですか」など、次々に出る質問に演奏家たちはひとつひとつ答えていました。IMG_20141201_113439
終わって後片づけをしていると、生徒たちが寄ってきて「手伝います」と言って譜面台や椅子をたたんでくれました。ある男の子は「ラララララ・・・」とオペラを真似してファルセットの美声を披露し、女の子から「あんた歌手になれば?」と言われていました。
演奏家が車で校門を出ようとしたとき、後ろから「どうもありがとうございましたー!!」と大きな声が聞こえました。振り向くと、1階の教室にいた子供たちが一斉に手を振っていました。演奏家も満面の笑顔で大きく手を振りかえしました。子供たちの素直な反応に心温かくなるような日となりました。どうもありがとうございます。