お知らせ
支倉サロン「冬のほっこりコンサート」
- 2014.12.4
-
昨日まで数日続いた冷たい雨が、やっと止みました。今日は、仙台市青葉区支倉町で月に一度開かれている、みなし仮設住宅にお住まいの方があつまるサロン「支倉サロン」に伺ってきました。
主催は、会場を提供されている浄土真宗本願寺派東北教区ボランティアセンターと、(社福)仙台市社会福祉協議会支えあいセンターあおば、(公財)音楽の力による復興センター・東北です。今日の出演は、昨夜「オーケストラスタンダードvol.11」でベルリオーズ「幻想交響曲」を熱い演奏で聴かせてくださったばかりの仙台フィルから、4名の弦楽器奏者。ヴァイオリンはコンサートマスターの神谷未穂さんと第2ヴァイオリン奏者の小池まどかさん、ヴィオラは長谷川基さん、チェロは今年10月に入団されたばかりの副首席奏者 吉岡知広さんです。
今日の「支倉サロン」は、音楽会ということでいつもより多い申込みがあったそうです。会場内を見渡すと、以前他の会場のコンサートでお見かけした方もちらほら。主催を担う浄土真宗本願寺派仙台別院の晨(はやし)輪番からのご挨拶をいただいた後、「皆さん、こんなに近くでオーケストラ奏者の演奏を聴くのは、きっと初めてですよね?」とお話しすると、お客様のほとんどがうん、うん、と頷かれていました。
コンサートの始まりはモーツァルトの「ディヴェルティメントK.136」全3楽章。Vn.神谷さんはじめ皆さんの明るい音色、そして軽快な始まりで、会場はあっという間にヨーロッパのサロンの雰囲気です。演奏が終わるとVn.神谷さんから「皆さん、こんにちは!今日は仙台フィルの中でもとっても気の合うメンバー達とやってきました」とメンバー紹介。「気の合う」というのも、Vn.神谷さん、小池さん、Va.長谷川さんの3名は同級生(同じ歳)なのだそうです!そしてVc.吉岡さんは今回が初めての復興コンサート参加となりました。
「チャールダーシュ」は、メロディを第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンで交互に担当する弦楽四重奏版。神谷さんは演奏しながら、客席の通路を後ろまで…耳のすぐそばで聴こえてくる、美しくも迫力のあるヴァイオリンの音色に、みなさん驚かれた様子でした。
Va.長谷川さんから「入団したばかりのチェロ吉岡さんの、とっても素敵な音色をぜひ聴いていただくて、チェロの美しいソロから始まるこの曲を選びました」と紹介されたのはボロディンの弦楽四重奏曲第2番より「ノクターン」。曲名だけを聴くとピンと来ないのですが、耳で聴くと「あぁ、この曲!」と思った方も多いのではないでしょうか。長谷川さんは「冬になると弾きたくなる曲」と後から教えてくださいましたが、雪の降る景色をあたたかい部屋の窓辺から眺めるような…そんな情景が思い浮かぶ曲でした。クラシックの様々な名曲を楽しんだ後は、この季節らしい楽しいクリスマスソングを。最後には坂本九さんの「上を向いて歩こう」が演奏されると、聴き馴染んだ曲にほっとした様子で、みなさんの背中が音楽に合わせて左に右に搖れ出すのがわかりました。そのまま手拍子はアンコールの拍手に…。「震災直後、復興コンサートが始まった頃から、大事にしてきた曲を」と神谷さんに促され「ふるさと」をみなさんと一緒に歌いました。客席には、歌いながら目頭を押さえられた方も。
「実はもう1曲アンコールを用意しています!最後は元気に終わりたいと思います。私たちはプロの(クラシックの)演奏家ですが、この曲を…?」とタイトルを言わずに演奏されたのは、昨年大ヒットしたNHK「あまちゃん」のオープニングテーマでした。これにはみなさんも「あぁ!」「あの曲!」とつい声が出て、会場全体でノリノリの手拍子となりました。お名残惜しく大きな拍手をいただいてコンサートが終わった後は、参加されたみなさんとのお茶のみに混ぜていただきました。「第九」など仙台フィルのコンサートについて、神谷さんから宣伝していただくと、すぐ目の前にいたおじいさんが「NHKのひるはぴで、きれいな方だなぁと思ってみてたけど、本物の方がきれいだなぁ~」なんて発言も飛び出し、会場から拍手と大喝采!
そのほか「チェロの棒の先についていたのは何?」「ヴァイオリンとヴィオラは同じように見えるけれど、どこが違うの?」など、テーブルではいろんな質問が飛び交っていたようです。帰り際、ヴァイオリンの女性お2人の胸(鎖骨)のところに「あら、傷が付いているわよ、怪我でもしたの?」という方も。「違うんですよ~これは楽器が当たってしまって、痣のようになるんです。痛くはないんですよ」「よくキスマークと間違えられます(笑)」。
「普段のコンサートでは気付かれないことも、こうして見えたり気付かれたりというのは、このサロンコンサートの距離の近さならではですね」と神谷さんがおっしゃっいました。本当にその通りです!コンサートのタイトル通り、帰るころには参加されたみなさんも、演奏者やスタッフたちもみんな「ほっこり」した今日でした。