お知らせ
ほっこりふれんどサロンへ
- 2014.12.9
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「ほっこりふれんどサロン」は、仙台市青葉区の西部、愛子地区のみなし仮設住宅にお住まいの方を対象とした定期サロンです。海からはるか離れたこの内陸部に県内外の沿岸部から移転してきた方たちが参加して、交流を図っています。
今日は「冬のあったかコンサート」と題して復興コンサートをお届けにうかがいました。出演はソプラノ歌手の齋藤翠さん、フルート山田みづほさん、チェロ明珍幸希さん、ピアノ掛田瑤子さん。この日のために新たに組んだアンサンブルということで新鮮な顔ぶれです。
会場は畳敷きの大広間ですが、クリスマスツリーが飾られて華やかな雰囲気ですね。サロン参加者の大人に混ざって、ご近所の愛子保育所の年長さんたちも集まり、いっそう賑やかです。ドレス姿の演奏家が登場したとたん「かわいいー」「きれいー」と子供たちから声が上がり、演奏家はちょっと照れた様子でした。
まずは器楽だけの演奏でグノー「アヴェ・マリア」、サン・サーンス「白鳥」が披露されました。しっとりとした幕開けのあとには翠さんがおなじみの映画音楽「踊りあかそう」「虹の彼方に」を朗々と歌い上げました。子供たちのためにと用意した「ミッキーマウス・マーチ」や「さんぽ」では子供たちも一緒に歌って、すっかりごきげんの様子です。その姿を見守るお年寄りたちはみなさん目を細めていました。
コンサートの中盤では、チェロとピアノによる「シチリアーノ」、フルートとピアノによる「歌の翼による変奏曲」「妖精の踊り」など楽器それぞれの音色をたっぷりと味わっていただきました。
さらに、チェロとフルートについてのわかりやすい解説もあって、子供も大人も興味を持って聞いていました。季節にちなんだクリスマスメドレーも披露され、「ああまた一年が終わるのだ」と過ぎゆく時間を感じました。
最後にアンコールで「故郷」を全員で歌いました。
客席から低音部でハモる歌声が聞こえてきて、演奏者もうれしいおどろきを感じていた様子です。一方で歌いながら涙を拭う方や、「まだこの歌は歌えない」と目を閉じて聞く方もいました。終演後のお茶会に演奏家も参加しました。コンサートの感想のほかにさまざまな身の上話も聞いていたようです。ある方が「きよしこの夜をみんなで歌いたい」と言いました。すると、「いいですよ!」「歌いましょう」とみなさんノリノリです。翠さんをリーダーにしてア・カペラで歌い始めました。震災前は会うこともなかった人たちが、この場でともに歌声を重ねているということを思うと、なんだかとても不思議な感じがします。ほんの一瞬ではありますが、歌っているこの穏やかな時間に感謝したい気持ちです。歌い終わると自然と拍手が湧きました。外では冷たい風が吹き、いまにも冷たい雨が降り出しそうな雲行きでしたが、部屋の中では心の中もほっこり温かくなるようなひとときでした。
このサロンは定期的に開催されてきましたが、今日初めて参加したという方もいて「音楽の演奏を聞くなんてこと、これまでなかったわ」「また来てね」との声がありました。はい、また来ますね。みなさん風邪ひかないようにお過ごしくださいね。