お知らせ
【文化庁派遣事業】仙台市吉成保育所へ
- 2014.12.16
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*音楽の力による復興センター・東北は、
平成26年度文化庁芸術家派遣事業〔東日本大震災復興支援対応〕の
音楽プログラムをコーディネートしています。しんしんと冷え込んだ今朝は仙台市吉成保育所へうかがいました。今日の出演はフルート櫻井希さん、クラリネット菊池澄枝さん、ピアノ鷲尾恵理子さんのトリオです。
吉成地区は仙台市西部にある丘陵団地で、住んでいる方々は「市街地とは気候がちがうのよね」と言います。実際、街なかではみぞれ模様でしたが、吉成では粉雪が降り積もって、保育所の窓から見える景色は真っ白になりました。演奏家はクリスマスコンサートらしく、赤、青、金のドレスで登場しました。その鮮やかな色彩が窓の外の雪景色に映えて、子供たちは「わーきれいー!」と一目で魅了されました。
会場には0歳から6歳までの子供およそ70名が集まりました。ご近所の方々にも「どうぞいらしてください」とお声掛けしたそうで、お年寄りや若いママも数名参加しました。
希さんが「最初にクラシックの音楽を聞いてください」と紹介したのはエルガー「愛の挨拶」、バッハ「主よ人の望みの喜びよ」です。フルートとクラリネットの掛け合いが人の会話のようでもあり、ペアで踊るダンスのようでもあり、木管楽器同士の柔らかなハーモニーが会場を包みました。先生もご近所の方もうっとりと聴いていました。
その後、楽器紹介を兼ねてクラリネット、フルートそれぞれの独奏で「アナと雪の女王」から「雪だるまつくろう」「生まれて初めて」を演奏しました。子供たちは「知ってるー!」とよろこんで一緒に歌っていました。
そして演奏家はちょっと変身!サンタ帽を被ったりトナカイの角をつけたりして、「諸人こぞりて」「サンタが町にやってくる」などのクリスマスナンバーを披露しました。今日の雪景色もちょっと早めのクリスマスプレゼントなのかもしれませんね。
続いて保育所からのリクエスト「たのしいね」「ありがとうの歌」を演奏しました。これは12月の初めに開催された発表会でみんなが歌った曲だそうです。みんな立ち上がって大きな声で歌いました。まっすぐな声には演奏家も思わず笑顔になるほどの勢いがありました(でも中には、いつもと楽器がちがうので演奏に聴き入ってしまって歌声が小さくなる子もいたようですけれど…)。先生方から「この曲を演奏していただけてうれしいです」との言葉をいただきました。
途中で泣き始めて部屋の外へ連れて行かれた1歳の子が、外に出た途端、泣くのを我慢し、部屋の中を指さして「中に入る」と意思表示をしたそうです。部屋に戻ったその後はずっと泣かずに聞いていたそうです。音楽が気に入ったんだね。
演奏後に、子供たちから演奏家にお礼の星のペンダントが贈られました。手づくりの星にはどんぐりの実がついています。秋になると保育所の裏の山からどんぐりが降ってくるのだそうです。「トトロの山がある保育所はよそにはないでしょう」と自慢の様子でした。
先生方からは「いつも歌っている曲が楽器編成やアレンジが違うとこんなにちがって聞こえるんですね!」「ピアノの演奏、参考にしたいです。勉強になります!」とのお声をいただきました。
帰り際、お昼ごはんをたべている子供たちが「ばいばーい!」と手を振ってくれました。演奏家もにこにこ顔で手を振っていました。みんな風邪ひかないようにね。よいクリスマスを!