お知らせ
【文化庁派遣事業】長命ヶ丘保育所へ
- 2014.12.25
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*音楽の力による復興センター・東北は、
平成26年度文化庁芸術家派遣事業〔東日本大震災復興支援対応〕の
音楽プログラムをコーディネートしています。クリスマスの今日、仙台オペラ協会のみなさんと仙台市長命ヶ丘保育所に伺いました。先生方からのリクエストで、12月のはじめにあったおゆうぎ会で頑張った子供たちへのごほうびに「うたのコンサート」を開催したいとのことでした。出演はソプラノの齋藤翠さん、遠藤典子さん、及川亜紀子さん、バリトンの鈴木誠さん、ピアノの日野有貴さんです。
100名ほどの子供たちは、椅子とゴザとに分かれて演奏するみなさんのすぐ近くから座りました。一列目にいるのは1歳児と2歳児。さてどんな風に聴いてくれるかな、とこちらもドキドキしながらの始まりです。
オープニングはとなりのトトロの「さんぽ」。ピアノの日野さんが前奏を弾き始めると、歌い手のみなさんは鈴や木魚(!)を鳴らし、行進しながら部屋に入場してきました。そのお姉さんたちの素敵なドレス姿に、子供達の目はどの子もきらきらと輝いています。(後から感想をお聞きした先生によると、この時の、子供たちがすっかり演奏家にくぎ付けになっている様子を見て「よし!これはもう成功間違いなし!」と思われたそうです。)
「さんぽ」に続いては先生方からのリクエスト「普段はなかなか聴く事の出来ないクラシックの曲をぜひ聴きたい」という声にこたえて、ソプラノの及川亜紀子さんの独唱でプッチーニ「私のお父さん」。目の前の小柄な及川さんから聴こえてくるきれいな声とその声量にびっくりして、子供たちはみんなぽかーんと口を開けながらもじっと見つめていました。続くソプラノ遠藤さんとバリトン鈴木さんによるモーツァルト「魔笛」より「パ・パ・パ」は楽しいデュエット。遠藤さんが歌う時には皆が遠藤さんを、鈴木さんが歌う時には皆が鈴木さんを目で追いかける子供たちの姿は、巣でピーチクパーチクと口をあけて親鳥の帰りを待っている小鳥さんたちのようで…なんとも可愛らしかったです。
その後はさまざまな打楽器が登場する愉快な「あっという間にクリスマス」(Bar.鈴木さん、Sop.遠藤さん)、そして演奏家全員と子供たちと一緒に「にじのむこうに」の大合唱、可愛い「ふしぎなポケット」(Sop.及川さん)、七つの海をさすらうタコの初恋を歌った「タコのブルース」(Bar.鈴木さん)、そしてこちらもみんなに参加してもらっての「幸せなら手をたたこう」「地球のなかま」(Sop.齋藤さん)など、子供たちが飽きないようにと工夫の凝らされたプログラムで、時間はあっという間に過ぎて行きました。最後は「さんぽ」を歌った後、子供達の大歓声に見送られながらの終演となりました。
終わってから職員室で、お茶をいただきながら先生方に感想を伺いました。「今日はなによりのクリスマスプレゼントをいただきました!」と先生方。子供たちだけでなく、先生方も一緒にとても楽しんでくださったようでした。子供たちの中には障がいをお持ちの子どもさんがいたり、まだ小さな0~1歳児も一緒でしたので、最後まで飽きることなく聴けるかな、とずいぶん心配されていたそうなのですが、今日は演奏家が「本当に聴く態度が立派な子供たちですね~!」とみなさん揃って驚くほどでした。集中力の途切れなかった子供たち、先生方に「今日はたくさん誉めてあげてくださいね」とお話ししたほどでした。
帰りに車に向かう私たちを、お昼ごはんの途中だったばなな組の子供たちが見つけて、雪が舞うにも関わらず窓を全開にしてくれました。「ありがとうございました!!」「バイバーイ!」「また来てねー!」子供たちの元気な声と笑顔は、演奏家のみなさんへのなによりのクリスマスプレゼントとなりました。