お知らせ

閖上げんきキッズコンサート

2015.1.24

IMG_4895sおだやかに晴れた土曜日です。今日は仙台市の南に接する名取市の名取が丘公民館へうかがいました。「閖上げんきキッズ」の子供たちへ演奏会をお届けするためです。名取市閖上は太平洋に面する町で、津波による大変な被害があった地域です。たくさんの命が失われ、いまもなお多くの人が仮設住宅に暮らしています。小学校は他校に間借り状態で、中学校もプレハブの仮設校舎です。
被災した子供たち、家族たちの集う場を設けて、一緒に語り合い、遊んだりしながら心のケアを図るために「げんきキッズ」の活動がはじまったそうです。現在は小学生を中心におよそ50名のメンバーが毎月さまざまな企画をやっているとのことです。
さて、本日の出演は、復興コンサートではいつもお世話になっている杜の弦楽四重奏団(ヴァイオリン叶千春さん、ヴァイオリン門脇和泉さん、ヴィオラ齋藤恭太さん、チェロ塚野淳一さん)のみなさんです。IMG_4956s
まずはご挨拶がわりに「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を演奏しました。畳の大広間に弦の音色が気持ちよく響き、明るい午後の日差しが差し込んでとてもすてきな空間になりました。最前列に陣取った子供たちは興味津々で、演奏者のすぐそばで膝を抱えてじいっとみつめていました。
IMG_4985s続くパッヘルベル「カノン」の調べに何かを思い出したのか顔を伏せていた子の姿がありました。ヴィヴァルディ「四季《春》第一楽章」で千春さんが歩き回って演奏すると、よろこんだり、緊張してフリーズしたり、とさまざまな表情が見えました。
IMG_5006s恒例の曲名当てクイズでは恥ずかしがる子と積極的な子がいましたが、塚野さんに当てられるとそれぞれに自分の答えを言っていました。宮城県の民謡「斉太郎節」を質問にしたときは、保護者やスタッフの大人がおおいに盛り上がって、子供たちが不思議そうにしていました。

終演後には、演奏のお礼にとなんとイモ焼酎の四合瓶が手渡されました。IMG_5062sIMG_5072s
お酒の名前は「ゆりあげの風」。このラベルデザインを閖上げんきキッズのみんながやったのだそうです。どうもありがとう!

閖上地区は復興の進みが遅く、また、小中学校の自校再建もさらに延期されるなど、複雑な事情を抱えています。待ちきれずに他の学校へ転校する子供も増えてきているそうです。つらくて人前でははしゃいでしまう子、我慢して平気な顔をしているけど、時々こらえきれずに感情があふれてしまう子がいるとスタッフの方からうかがいました。今日のげんきキッズのみんなは「少し静かに聴きましょう」と注意されるぐらいにエネルギッシュだったけど、本当の気持ちまではわかりません。でも、今日、ここでみんなと弦楽四重奏を聴いたという体験が彼らの中にほんのちょっとでも残って、こころを軽くしてくれたらいいなあと思います。それから、親御さんたちにも音楽を聴いてほっと一息ついていただけたら、と思います。
震災当時、閖上小や閖上中にいた子たちがいまは中学生や高校生になり、ボランティアでこの「閖上げんきキッズ」の活動を応援している姿もありました。「自分たちでこのまちを創っていくんだ」という気持ちが感じられて、とても頼もしく思えました。
また会えるといいですね。(み)