3年目となった「復興コンサートいずみ」。仙台市泉区の主催で、泉区内でみなし仮設にお住まいの方と、その方々のサポートに当たる民生委員のみなさんを対象にしたクローズドなコンサートです。出演は、ソプラノ齋藤翠さん、フルート山田みづほさん、チェロ明珍幸希さん、ピアノ可沼美沙さん。そして、昨年に続き、泉第２チェリー保育園のつる組・きじ組さんと、仙台白百合女子大学聖歌隊“tutti♪”のみなさんも歌で参加してくれました。

世界で一番多く上演されているというミュージカル「マイ・フェア・レディ」から、明るく元気のでる「踊り明かそう」でコンサートは始まりました。ステージの目の前にゴザを広げて座っている子どもたちは、翠さんの大きな声量と、すてきな歌声に驚いて、ぽか～んと見上げている子、嬉しそうに笑顔になる子と様々です。椅子席に座っている大人の方たちも、心なしか頬が緩んでにっこりされています。2曲目で早速、泉第2チェリー保育園の子どもたちの出番。ピアノだけでなく、フルートとチェロにも伴奏に加わっていただき「雪だるまつくろう」、そして「ありがとうの歌」を一緒に歌いました。この日のために練習してくれたみなさんの元気な歌声に、大きな大きな拍手が送られました。

その後は楽器紹介を交えながらフルートとチェロで１曲ずつ。チェロの弓の毛は、なんの動物の毛だと思う？と尋ねると「たぬきー！」「へびー！」「きりんー！」と様々な声が飛び交いました。フルート、チェロ、ピアノで「ジュ・トゥ・ヴ」を演奏すると、子どもたちも大人たちも、ワルツに合わせて右に左にゆ～らゆ～ら。みんなニコニコいいお顔。これも音楽の魔法ですね。

普段、大学の礼拝堂でのミサでの歌唱を主な活動としている白百合女子大聖歌隊“tutti♪”のみなさんは、いつも歌っている讃美歌から「キリストはぶどうの木」、続いて森山直太朗「虹」。このコンサートに向けて、事前に2度、翠さんに指導に行っていただいたのですが、その成果もあってか、とても澄んだ綺麗な歌声を聴かせてくれました。

ソプラノ翠さんは「私のお父さん」「虹の彼方に」を独唱で。オペラでは広い舞台、ホールでも歌われている翠さんの声量には、みなさん驚かれていたようでした。最後は“tutti♪”のみなさんに再び加わっていただき、「花は咲く」をみんなで歌いました。サビの部分になると、保育園の子どもたちも一緒に歌ってくれました。後で先生にお聞きしたところ、この日歌うことを知って、園でもCDをかけてくれていたそうです。子どもたちはそれを聴いて、一緒に歌えるようになったそうで、とても嬉しいサプライズでした。

みなし仮設にお住まいの方は、自宅改修・再建や復興公営住宅への入居が少しずつ進み、泉区でも少しずつ少なくなっているようですが、まだまだ多くの方が「自分の家」に落着けないまま生活していらっしゃいます。そんなみなさんを支える民生委員の皆さんにもご苦労が多いことでしょう。一年で一番寒いこの時期の開催でしたが、ほんのひとときでも音楽に心揺らし、あたたかな気持ちを持って帰っていただけましたら幸いです。泉第2チェリー保育園のみんなも最後まで立派に聴いてくれましたね。”tutti♪”の皆さん共々、素敵な歌声で彩を添えてくれました。演奏家のみなさんも共演曲が多く大活躍でした。主催、協力いただきました仙台市泉区保健福祉センター管理課のみなさん、泉区社協支えあいセンターいずみのみなさんも、ありがとうございました！