お知らせ
【文化庁派遣事業】ますえの森どうわほいくえんへ
- 2015.2.5
-
音楽の力による復興センター・東北は、
平成26年度文化庁芸術家派遣事業〔東日本大震災復興支援対応〕の
音楽プログラムをコーディネートしています。鎮守の森を上ったところにある、ますえの森どうわほいくえん。普通のお家が2軒並んだ小さな保育園ですが、グランドピアノがあって今日のピアニスト渡邊梨絵さんもびっくり。一緒に伺ったのはフルートの櫻井希さんと渡邉珠希さんです。
コンサートの始まり、ドレス姿の希さんと珠希さん、梨絵さんに「かわいい~!」と女の子たち。その希さんと珠希さんのお2人が持っているのは、素敵なラベンダー色のポーチと、革製のかばん。あれ?楽器がない?不思議そうに見ている子どもたちの前で、小さなケースをポーチから取り出した2人。「何が入っていると思う?」とそっと蓋を開くと、そこには金色の筒が3つ並んでいました。身を乗りだして覗きこむ子どもたちの前で、希さんが、その短い筒をひとつ、取り出します。唇に当てて息を吹き入れると「ぽー」という音。「これを、こうして繋いでいくと、フルートになるんだよ」と組み立てから、今度は希さん「ドレミファソラシド!」と吹いてくれました。その途端、子どもたちの瞳はきらきらきらっ!思っていたより大きな音だったのか、男の子たちが「うるさい!」といったかと思うと、となりの女の子が「いい音!」その声に、あぁよかった、と演奏家のみなさんも一安心。
そんな始まりから「きらきら星」による変奏曲のフルートデュオや、手拍子で子どもたちに参加してもらった「トルコ行進曲」、本格的な2本のフルートとピアノのための「アダージョとアレグロ」より「アレグロ」など、前半はクラシックの曲を中心に演奏しました。「アレグロ」は4分半ほどの長さの短調で始まる曲。2本のフルートがめくるめく追いかけっこしたり、一緒に寄り添うようにハーモニーを奏でたり…。「2本のフルートが一緒に吹くと、もっと大きな音になるんだね!」「いい音だね!」と大きいお友達は、先生にささやきながらもどんどん惹き込まれるように聴いてくれていました。1歳児さんは途中で飽きてしまいましたが、後半の「さんぽ」の前奏が始まると、遊んでいた隣りの部屋から一目散にかけてきました。この曲では、希さんはフルートより小さくて、高い音の出る黒い楽器「ピッコロ」を担当。かわいい音がしましたね。大きい子も小さい子も、一緒に歌ったり、先生と手を繋いでその場で行進したり。どの子どもたちも、小さな部屋に響く音のシャワーを体いっぱいに浴びてくれたようです。最後には子どもたちから「ありがとう」の気持ちのつまったレイのプレゼント。演奏家のみなさんは、みなさんからのプレゼントが嬉しくて、レイをかけたままお家に帰りましたよ。
もうひとつの園舎にある古いアップライトピアノは製造番号が3桁だそうです。引っ越しの際に、もう古いので処分しようとしたところ、調律師さんに留められ、すっかり修理してまた戻して下さったそう。何人もの調律師さんに「このピアノはいい音ですね、ぜひ譲ってください」と言われたそうです。ピアノの梨絵さんと、いつかそのピアノも弾いてあげたいですね、なんて話をしました。
帰りは2階の窓を全部開けて「バイバ~イ!」「またきてね~!」とみんなが手を振ってくれました。またどこかで会いましょうね!