お知らせ

小松島「春よ来いコンサート」開催しました

2015.2.21

IMG_6461s青空澄みわたるおだやかな陽気となった今日、仙台市青葉区の小松島コミュニティ・センターへ伺いました。この周辺は古い住宅街で、東日本大震災のときはがけ崩れなど宅地被害がけっこうありました。また、宮城県気仙沼や石巻、福島県相馬などから移転し、このあたりの借上げ民間賃貸住宅(みなし仮設)にお住まいの方がおよそ80世帯あるそうです。みなし仮設の方と地域のお世話役および住民のみなさんが交流するきっかけになるようにと「こまつしま春よ来いコンサート」が開催されました。IMG_6314s
出演はソプラノ沓澤裕恵さん、ヴァイオリン駒込綾さん、ギター小関佳宏さんのトリオです。会場には早くからお客さんが集まり、客席はもうぎっしりです。100名を越える応募があったそうで、民生委員さんが「こんなに集まるなんて…」とうれしい悲鳴をあげていました。
IMG_6337sオープニングはおなじみのミュージカルナンバー「踊りあかそう」です。ギターの弾むリズムにヴァイオリンの流れるような旋律が乗り、朗々とした沓澤さんの声が響いて会場はうきうきした雰囲気になりました。終わった瞬間、「おおおおぉ」というどよめきが起こり、大きな拍手が鳴り渡りました。続いてロッシーニ「アルプスの羊飼いの娘」やイタリアのカンツォーネなど、声楽の魅力をたっぷりとお楽しみいただきました。歌が終わるたびに客席はどよめきます。司会担当の駒込さんが「沓澤さんは細い体をしているのにすごい声が出るんです」と言うと、多くの方が「そうそう」「ほんとねぇ」「いやぁすごい」と感心していました。
ヴァイオリンとギターのデュオでパガニーニ「カンタービレ」が演奏されました。悪魔と例えられたヴァイオリニストのパガニーニについて、また、この曲は彼が愛する女性ギタリストのために書いたことなどを駒込さんが紹介すると、かの鬼才もやっぱり人間なんだね、とより親しみやすく感じられました。会場のみなさんは聴きながら、若いころの恋を思い出していたのでしょうか、甘やかな二重奏にうっとりと聞き惚れていました。IMG_6345s IMG_6346s
プログラム後半は日本の歌特集です。武満徹から「月の沙漠」を経由して石川さゆりへと向かいます。ギターソロによる「天城越え」では低く静かに歌う声が自然と湧いていました。「ああ、音楽が好きなんだなあと」いうことが肌で伝わってきました。クラシックや唱歌や演歌、お好みのジャンルは人それぞれですが、その時々でヴィヴィッドな反応がみられます。そのエネルギーのやり取りが演奏家にも楽しい様子で、会場全体が呼吸するようにイキイキしてくるのが感じられます。最後は、来たる新しい季節への希望を込めて「早春賦」で締めくくりました。三拍子に乗って体をゆらす方がたくさんいました。
IMG_6437sその後は熱狂的な「アンコール!」の大合唱が湧き起こり、演奏家も圧倒されていました。リクエストいただいていた「故郷」をみんなで歌いました。みなさんの歌声がひとつになって会場を満たします。会場内の気温が上がったような気がするほどでした。決して朗々と歌うわけではないけれど、それぞれの人が、それぞれの思いを込めて、それぞれの声で歌う姿がすてきでした。演奏家もそれに共鳴して感動しているように見えました。演奏家も音楽を通じてお客さんから力をいただいているんですね。
万雷の拍手の中でコンサートは終了しました。会場を出るみなさんの表情は晴れ晴れとして、「よかったわぁ」「楽しかった」「ありがとう」とたくさんの方がお声を掛けてくださいました。こちらこそどうもありがとうございます。春はもうすぐです、どうぞお元気にお過ごしくださいね。IMG_6426s