お知らせ
大船渡・山岸仮設住宅へ行きました
- 2015.2.28
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2月最後の日はうららかな陽気となりました。今日は岩手県大船渡市末崎地区の山岸仮設住宅へうかがいました。
ここは末崎小学校の校庭に立ち並ぶプレハブの応急仮設住宅で、現在はおよそ30世帯が暮らしています。眼下に碁石海岸が見え、鏡のように平らかな水面には日差しがきらめいていました。集会場の入り口ではアンパンマンが歓迎してくれましたよ。
本日の「春よ来いコンサート」に出演するのは、仙台フィルのヴァイオリン佐々木亜紀子さんと熊谷洋子さん、ヴィオラ梅田昌子さん、チェロ山本純さんによる弦楽四重奏です。
会場には17名の方が集まりました。お世話役をしている新沼利雄さんによれば、この仮設住宅を出て自宅へ戻った人も、ここで何かイベントがあるときにはお声掛けして気軽に来てもらえるようにしているとのこと。そのためかとてもオープンで明るい雰囲気が感じられました。お客さんは座布団に座ってまるでお茶の間のようです。こういう親密さの中で演奏できるのが復興コンサートの一つの良さですね。
目をつぶってしみじみ聴く方、初めて見る弦楽器を見つめる方、人それぞれのかたちで聴いています。曲が終わるごとに客席から「ほぉぉぉ」とため息が聞こえました。司会役の山本さんがわかりやすく解説しながら進行しますので、だいぶ身近に感じられたかと思います。
「じゃあ、おとなり陸前高田の歌ですけど、よかったら歌ってください」と演奏したのは千昌夫「北国の春」です。「千でも万でも大丈夫だ」「この人の十八番だから」「わはは」とみなさんノリノリで歌ってくださいました。
およそ1時間のコンサート、最後の曲はドヴォルザーク「家路」です。みなさんのこれから帰るべき「家」はこれから自分たちで創っていくものです。それが明るいものでありますように、との願いが込められた曲です。いつしか陽は傾き、窓からは柔らかな西日が差しこんで、会場は澄んだ明るさに満たされていました。お客さんも演奏家も温かな笑顔を見せていました。