お知らせ
うたカフェ♪_4月
- 2015.4.17
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復興公営住宅の田子西市営住宅では、町内会主催のサークル活動として、
市営住宅およびその周辺にお住まいの方々の交流の場として
「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、
みんなで歌い、おいしいコーヒーとおしゃべりを楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、音楽リーダーとなる音楽家をコーディネートしています。今日は新年度最初のうたカフェです。が、雨雲が空を覆い、冷たい風と雨が吹きつけるあいにくの天気となってしまいました。にもかかわらず、いつものメンバーが「こんにちは」と明るい笑顔で集まってきました。戸を開けたとたんに「あら、いい香り!」と、多くの方が鼻をくんくんさせます。喫茶ひこのマスター西垣さんが淹れるコーヒーを待ちかねていた様子で、さっそくカップを差し出して一杯目を味わっていました。
いつものように、歌リーダーは仙台オペラ協会の松本康子さんと岩瀬りゅう子さん、ピアノ伴奏は可沼美沙さんが務めます。
今日は青葉区や泉区などから区役所職員が見学に来ました。今年度、仙台市では多くの復興公営住宅がオープンするので、新しいコミュニティづくりが喫緊の課題となっています。その参考例として、この「うたカフェ」を一緒に体験していただくことにしました。
まずはウォーミングアップに軽くストレッチをして、前回のおさらいで『どじょっこふなっこ』『越天楽今様』を歌いました。見学者が多くてちょっと恥ずかしかったのかしらん、いつもよりちょっと声が小さくなっていたようですけど。。。
『今様』のメロディを踏襲したとされるのが、有名な民謡『黒田節』です。「みなさんよく知っている歌ですが、本当は難しい曲なんですよ」と松本さんが説明するように、楽譜では細かい上がり下がりがあり、また、かなりの低音に女性参加者は苦労していました。「最後の部分は子音の〈k〉と〈m〉を強調して歌うとカッコいいです」とのアドバイスに、「くぉぉぉれぇぞ、んまぁぁくぉぉとぉのぉ、くぅろぉだぁぶぅぅしぃいいい」とこってりした発音でみなさん歌い、楽しそうでした。
続いてはがらりと気分を変えて、「丘を越え行こうよ」でおなじみの『ピクニック』を歌います。主旋律チームとアヒル&ヤギの合いの手チームの2つに分けて歌いました。合いの手があまりに気はずかしそうでしたので、「それぞれオリジナルの鳴き声を考えてください」との課題が出され、最後はだいぶ賑やかになりました。
「ピクニックで丘を越えたので、続いてはアルプスにのぼりましょうか」と、岩瀬さんが独唱でアニメ「アルプスの少女ハイジ」の主題歌『おしえて』を披露しました。弾むリズムと澄んだヨーデルの響きに、この雨天ながら気分が晴れ晴れしました。
続いては、松本さんが「アルプスの後は、全部の山に登っちゃいましょう」と映画「サウンド・オブ・ミュージック」の『すべての山に登れ』を歌いました。震災直後、仙台駅前でこの歌を歌うことになったとき、「まだ電車が動いてなくて、ガソリンもなくて、隣りの市の自宅から自転車で1時間かけて会場に行きました」とのこと。また、この歌を折々に歌うことでご自身も励まされ、勇気づけられて、辛いことも乗り越えられたと語りました。
音楽家それぞれにそういう実体験があるからこそ、参加者のみなさんにもその音楽の力が伝わるのですね。うたカフェを通じて、歌を新しい友人にしていただければさいわいです。