お知らせ

福島市吾妻学習センターへ

2015.4.25

IMG_0386s今日は、福島市の西部にある福島市吾妻学習センターにて「ふくしま復興!ファミリーコンサート」をお届けしてきました。IMG_20150425_154134
春を飛び越して、汗ばむような初夏の陽気です。晴れ渡った青空のもと、高くそびえる吾妻連峰が間近に見えます。会場の周囲はリンゴの花が盛りで、あたり一面真っ白に輝いているようでした。
IMG_0406s本日は、仙台フィルメンバーによる9重奏「Chambre Dix(シャンブル・ディス)」が登場しました。メンバーはヴァイオリン宮﨑博さん、ヴィオラ御供和江さん、チェロ北村健さん、コントラバス黒江浩幸さん、フルート芦澤曉男さん、オーボエ木立至さん、クラリネット副島謙二さん(元仙台フィル)、ファゴット入交滋さん、ホルン大野晃平さんです。
ちょうど1年前に、仙台フィルメンバーによる弦楽四重奏カルテット・フィデスがここで復興コンサートを行ないました。その時も本当にたくさんの方にご来場いただきましたが、今日もおよそ170名の市民が文字通りに詰めかけました。開場と同時にお客さんが小走りになって座席めがけて急ぎます。最前列の真ん中から席がみるみる埋まっていきました。シャイなお客さんが多い復興コンサートでは、なかなかめずらしい光景です。楽しみに待っていてくださった様子がわかります。
オープニングはシュトラウスⅡ世「春の声」。広い会場には一気に華やかな雰囲気が満ち、お客さんもすうっと音楽の世界に惹きこまれていました。明るく楽しいルロイ・アンダーソンメドレーの後に、楽器紹介がありました。「普通じゃ面白くないね」と、弦楽器の人は好きな食べ物を、管楽器の人は好きな女性のタイプを言っての紹介となり、演奏家の気さくな(意外な?)一面に触れて、客席は笑いで包まれました。
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続いては、春にちなんだ日本の歌を集めたメドレーです。演奏家と参加者で一緒につくるのが復興コンサートです。今日は「荒城の月」「朧月夜」などおなじみの唱歌をお客さんに歌っていただきました。IMG_0472s
多くの方が口ずさむ中、ことのほか大きな声で朗々と歌うおじいさんがいて、演奏家も嬉しそうでした。

IMG_0501sさて、最後の演奏曲はプロコフィエフの「ピーターとおおかみ」です。これは9重奏のシャンブル・ディスだからこそできる曲と言えるでしょう。それに加えて、復興センター事務局の千田と伊藤がナレーションに駆り出され、一大音楽物語のご披露とあいなりました。演奏時間が30分近くある大曲なので、もしかしてお客さんの集中力が切れてしまうのでは…と心配しましたが、小さな子供もおしまいまでずっと楽しそうに聴いていました。
アンコールは景気よく「ラデツキー行進曲」です。客席からは大きな手拍子が沸き、会場全体が一体となった感じがしました。
演奏後、演奏家には花束が贈られ、また、演奏家はお客さんのお見送りをし、とても親近感あふれるコンサートとなりました。館長さんからも「お客さんが昨年以上に集中して聴いていましたね」との声をいただきました。IMG_0561s IMG_0593s IMG_0584s

 

 
一方で、この会場わきの廊下には食品等放射能測定ための常設ブースがあり、ときおり市民の方が摘んだばかりの山菜などを持ってやってきます。IMG_20150425_124327
「去年は800ぐらいだったから、今年は1000超えるかなあ」
「タラの芽は大丈夫なんだけどねえ」「コシアブラは数値高いんだよなあ」
「あら、1200ですって」「やっぱりだめかあ」
「もったいないけどねぇ」「しかたねえな」
そんなやりとりが聞こえてきました。まるでお天気の話でもしているかのような何気なさでそんな会話が交わされています。
米や野菜、果物など栽培ものはもちろん厳しい検査を経たのちに出荷されているので問題はないのですが、山菜など自生のものは時として高い数値が出ているようです。放射能汚染問題が日常の中にあることを、改めて気づかされました。

そして、福島市内にもプレハブの仮設住宅団地がまだまだあるとの話です。音楽にできることはささやかなことですが、地道に息長く復興コンサートをお届けに来たい、と改めて思いました。