お知らせ
気仙沼・元 吉田牛乳屋へ
- 2015.5.11
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Sop.沓澤裕恵さん、Vn.駒込綾さん、G.小関佳宏さんとの気仙沼ツアー「そよ風コンサート」2カ所目。諸事情があり昨日になって会場が、個人宅から牛乳屋さんへ変更になりました。ん??牛乳屋さんって…?
行ってみると、以前牛乳店を営んでいた個人宅。当初ご自宅をお借りする予定となっていたOさんが管理を任されている、ご親戚のお宅でした。もう20年もの間、人は住んでいらっしゃらないのだそうですが、その割にはお庭も花盛りですしお部屋の中も小ざっぱり…Oさんがすっかり綺麗にお掃除してくださっていました。本当にありがとうございます。
奥の間は和室にしては天井がとても高く、リハーサルをしてみるとちょうどよく響いて、演奏家もひと安心。なんとも雰囲気のある大きなお家です。
次第に陽が落ち、開演時間が近づくと「こんばんは~」とお友達同士で少しずつ集まっていらっしゃるお母さん達。なんだか既に良い雰囲気。演奏家とこんなに近い距離でコンサートを聴く機会なんて、なかなかないことだったようです。みなさん本当に温かな眼差しで聴いてくださいました。
名残惜しくも終演し「今日は聴きに来れてとってもよかったよ」と言ってくださるお客さんたち。
お見送りした後に、Oさんのおばあちゃんが、戦時中にこの家で、こっそり蓄音機で洋楽を聞かせてもらったんだよ、と話して下さいました。その中にはアイルランド民謡「庭の千草」もあったそう…という話を聞いて、ギタリストとヴァイオリニストがそれなら、と楽器を再び取りだしました。ちょうど、ギターの小関さんが最近編曲・出版された楽譜の一冊にイギリスやアメリカの民謡を集めた「Traditional Song」があり、その中には『庭の千草』も収録されていたのです。目の前で思いがけず、懐かしい曲を演奏してもらったおばあちゃんも本当に喜んでくださいました。
縁側には、当時のものと思われる蓄音機も、変わらずに置いてありました。少女だったころのOさんのおばあちゃんと、今日ここに来て一緒に演奏を楽しんだ今のOさんのおばあちゃん、そして今は暮らす人のないこの家も、一緒に音楽を楽しんでくださったような、そんな気がした夜でした。