お知らせ
あすと長町第三公営住宅へ
- 2015.5.31
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仙台市太白区にある、あすと長町第三公営住宅。ペットと一緒に暮らすことのできる公営住宅として、4月から入居が始まりました。この日は郡山地区社会福祉協議会が中心となった、あすと長町公営住宅支援者連絡会の主催で、復興コンサート「ほっとコンサート」と昼食会の、2部構成による住民交流会が開かれました。出演は、仙台フィルのオーボエ奏者 木立至さんと、ピアニストの鷲尾恵利子さんです。
ペット可だったあすと長町仮設住宅にも、何度かこれまで復興コンサートで伺ったことがあったので、こちらの公営住宅にそのペットと共に引っ越された方も多いようで、お会いしたことのある方もちらほらいらっしゃいました。おひとり話を伺った方は、引っ越しをされてひと月余り。「やっぱり自分の家、と思うと、とってもほっとするねぇ~」と教えてくれました。4年に亘る仮設住宅での暮らし。とてもとても、長く感じられたことと思います。あすと長町仮設にお住まいの方で、集団移転の土地造成を待つ方達は今年度末にようやく土地の引き渡しとなるのだそうです。石巻など故郷の土地造成を待っている方もいらっしゃいます。一日も早く、みなさんがそれぞれの家に落ち着かれる日がきますように、と願わずにはいられません。
この第三公営住宅があるのは郡山地区なのですが、線路を挟んだ西側には商店街が立ち並ぶ長町地区があります。その長町で「古い歴史の街の住民と新しい住民とをつなぐ」をテーマに10年以上活動を続けている「まざらいん長町」という団体があります。オーボエの木立さんは、コミュニティFM「エフエムたいはく」でレギュラー番組を担当するほか、この「まざらいん長町」の会員でもあります。その「まざらいん長町」は、あすと長町仮設住宅が始まった当初からコミュニティ支援を行っていたこともあり、この日来場された住民のみなさんや、支援者連絡会のみなさんにも、お知り合いがたくさんいらっしゃいました。新しい住処に落ち着かれたみなさんとの、思わぬ再会にあちらでもこちらでも嬉しい声での挨拶が聞こえていました。
30人くらいと言われていた集客予想に対し、支援者連絡会の皆さんもたくさんいらっしゃり、プログラムはあっという間になくなってしまいました。コンサートが始まってからいらっしゃった住民の方もいらして、支援者連絡会の方や、報道関係者は、部屋の中に収まりきれず外から、演奏を楽しみました。
「エフエムたいはく」で毎週木曜日に放送されている番組「ミュージック・ラウンジ」には、月に一度、ピアニストの鷲尾さんも出演されています。そんなお二人ですので、その番組の放送スタジオにも近い“地元”でのコンサートとあって、お二人のお話しもいつも以上に楽しく進みました。また会場となった公営住宅の1階にある集会所は、きちんと響きのある部屋でした。
「ワルツィング・キャット」では木立さんが「家にある楽器を、今日は、全部持ってきました。」とトライアングル、ウッドブロック、スライドホイッスル…などをセッティング。ピアノ伴奏に合わせて、オーボエの他にもこれらの楽器をフル活用し、最後には犬の鳴き声まで真似をしての大活躍で、楽しく聴かせてくださり、会場からは大きな笑い声と共に拍手喝采。「からたちの花」「この道」の山田耕筰メドレーや、ピアノの独奏で聴いたショパン「ノクターンop.9-2」など、じっくり目を閉じて聴き入っていらっしゃる姿も多く見られました。この日は最後に演歌メドレーと、アンコールではコールアングレに持ち替えて「川の流れのように」を。住民のみなさんも、支援者連絡会のみなさんも、一緒になって歌ってくださいました。
仙台市内はこの春、多くの公営住宅が完成し入居が始まりました。また、同時にそうした場所での住民交流会へ「復興コンサートの」依頼をいただくことが増えて来ました。今回は、とてもみなさん楽しんでくださっていた一方で、住民以外の方々の人数が会場の広さに比べてとても多い場でした。そのことで、ひととき日常から離れて、音楽を(生演奏を)、じっくりと楽しんでいただきたいというこちらの思いを実現することが、難しい雰囲気になっていたような気もしました。そのコンサートの雰囲気というのは、その場にいる全員が作りだすものです。そうしたことが関わるすべての方に共有され、ひとつひとつのコンサートを大切に、聴いてくださる方にお届けできるよう、私たちも丁寧に、主催されるみなさんときちんとお話ししていきたいと気持ちを新たにした機会でした。みなさん、またきっとお会いしましょう!