お知らせ
「めでしま東部 年の瀬コンサート」開催しました
- 2015.12.17
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今日は宮城県名取市愛島(めでしま)地区にある愛島東部仮設住宅へ伺いました。現在およそ120世帯が暮らしています。住民のほとんどは津波で大きく被害した閖上地区の方々だそうです。
「めでしま東部 年の瀬コンサート」の出演は、ヴァイオリン叶千春さんと駒込綾さん、ヴィオラ羽川涼子さん、チェロ塚野淳一さんによる弦楽四重奏団です。
会場には14名の参加者が集まりました。クリスマスにちなんで女性演奏家3人がそれぞれ緑、赤、ゴールドのドレスで登場すると「あらぁ~」と客席がどよめき、「まあ素敵だこと」「いいねえ」「わざわざすみませんねえ」とおばさま方が口々に感想をつぶやきました
まずはクラシックの名曲シリーズで幕開けです。モーツァルトやパッヘルベル、ヴィヴァルディを演奏しました。「名前はわからないけど、聞いたことあるねえ」「こんなに近くで聞かせてもらえるなんてねえ」「特等席だねえ」とお客さんたちは嬉しそうです。
宮城県の民謡「斉太郎節」では歌い出す方が多くいました。閖上には漁港があり、漁業に携わる人も多かったので、この歌は特になじみが深いのでしょう。
千春さんが「楽譜のない民謡を塚野さんが弦楽用に編曲したんですよ」と楽譜を見せると「おお~」と興味を示していました。塚野さんが進行する曲当てクイズコーナーはどこの会場でも好評なのですが、今日はことのほか盛り上がりました。
数小節を演奏して「さあ何の曲でしょう?」と問うと、大抵は恥ずかしそうにこっそり答える人が多い中、ここは全くちがってすぐさま「はいっ!」「はい!」と勢いよく手が挙がり「○○です!」「◇◇です!」と指名される前から大きな声で答えます。塚野さんが「指名された人だけ答えてください!」とルール説明をしたそばから、おばさま方はすぐ「ハイ!○○です!」「あれ?◇◇かな?」と自由に答えてしまいます。
コントみたいなやりとりの様子に演奏家も大爆笑。思わず吹き出してしまって演奏できなくなる場面もありました。
とにかく今日のお客さんは反応が良くて、演奏家のトークにツッコミを入れたり、感想を言ってはお互いに「んだね」「そうだね」と共感し合っています。
知っている曲には歌で参加してきて、この場に居るみんなでこのコンサートを、この時間を一緒に創っているという感じがしました。そのエネルギーの交感がお客さんと演奏家双方をどんどん元気にしていきます。みんなで歌ったり笑ったりして会場全体で楽な呼吸をしているようでした。
終わってみなさんで記念写真を撮りました。会場を出るお客さんが「楽しかったねえ」「んだねえ」「クラシックって言うとなんだかわからないもんだと思ってたけど、来てよかった」「おもしろかったねえ」と口々に言っているのが聞こえました。「また来ますから、呼んでくださいね」と言うと、「来年にはだいぶいなくなっちゃうからねえ…」と何人かの方がちょっと淋しそうな表情をしました。
また別の方が言いました。
「やっと公営住宅が当たって閖上に帰れることになったの!」「それは良かったですねえ」「でも、その建物がまだ建ってないの!」「ここは本当に復興が遅いんだもの…」「ほんとだね」「ねえ」
そんな会話を聞きました。復興公営住宅への入居が完了するのは名取市の場合、平成30年の見込みだそうです。まだまだ時間が掛かりますが、みなさんどうかお元気で。またお会いしましょうね!