お知らせ
いわて生協「福幸コンサート」ツアーへ
- 2016.1.30
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いわて生活協同組合では、応急仮設住宅への訪問や食事会等季節のイベントの開催、ボランティアバスツアーの企画など、震災復興支援活動を継続的に行なっています。その一環として、いわて生活から復興コンサートの依頼がありました。題して「福幸コンサート」、昨年に引き続き2回目の開催となります。
今回は1月29日に陸前高田、翌30日に釜石へ弦楽四重奏をお届けしました。陸前高田も釜石も津波で甚大な被害があった地域です。人びとが集う場所も、そしてきっかけも失われてしまいました。仮設住宅での生活もまだまだ続く中、たまにはお出かけ気分を味わって気晴らししてもらいたいというのがこのコンサートの趣旨です。音楽ホールはもとより公民館やフリースペースもない状況なので、陸前高田ではホテルの宴会場を、釜石では中学校の体育館をお借りしました。
出演は、復興コンサートでおなじみの杜の弦楽四重奏団のみなさん(ヴァイオリン叶千春さんと門脇和泉さん、ヴィオラ齋藤恭太さん、チェロ塚野淳一さん)です。
モーツァルトの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』が始まった途端、参加者のみなさんは一気に惹きこまれた様子でした。よい具合に響く会場で、弦楽のハーモニーに身を包み込まれるような感じがします。普段なかなか間近で見聞きすることのない生の弦楽奏に、うっとりと聴き入る方、目を閉じてじっくりと聴く方、拍子を取りながら微笑んで見ている方などそれぞれの楽しみ方で聴いていらっしゃいました。
ヴァイオリンの千春さんが生協のファンで、日頃からよく利用しているという話をすると、お客さんはぐっと親近感が湧いたようで、会場の雰囲気が一気になごみました。
クラシック曲のほかに、この日のために用意された東北の民謡メドレーや懐かしの歌謡曲なども演奏されました。陸前高田のお客さんは本当によく聴いている様子で、最後の一音が鳴り終わり、弓が弦を離れたあとの無音の余白まで聴いてから、静かに拍手が起こるのでした。演奏家と観客の呼吸がぴったり合わさって、すてきなコミュニケーションだなあと思いました。翌日の釜石は雪模様。この沿岸部地域は雪はあまり降らないそうなのですが、この日は珍しく積雪がありました。まずは灯油のポリタンクを運び込み、体育館にある暖房器具をフル活用して会場を暖めることから始まりました。とは言え、広い体育館ですからなかなか容易ではありません。結果、吐く息白い気温の中、観客のみなさんはコートにマフラー姿で聴き、演奏家はかじかむ指先に息を吹きかけながらの演奏しました。心なしか、音色も寒さに縮こまっているようです。寒さで集中が途切れるのではないかと心配しましたが、どの方もしっかり最後まで聴いていらっしゃいました。ご当地民謡の『南部牛追唄』の切々とした旋律に身を凝らして聴き入っている姿が印象に残りました。
観客アンケートには「夢のような時間でした」「トークも楽しくて良かったです」と感激の言葉がたくさんありました。また、「こんな遠くまで来てくれてありがとう」「寒い中演奏してくださってご苦労様です」と演奏に行った私たちへのお気遣いの言葉があり、岩手の人びとの温かさと優しさが身に染みました。
今回のコンサートは、生活協同組合コープあいち組合員の方々による募金で開催することができました。どうもありがとうございます。また、いわて生活協同組合ならびにけせん地区・釜石地区のこーぷ委員の方々には大変お世話になりました。この場を借りて感謝申し上げます。