お知らせ
復興コンサートいずみ2016 開催しました
- 2016.3.14
-
仙台市泉区保健福祉センターは「復興コンサートいずみ」を毎年この時季に主催してきました。これまでは泉区内の借上げ民間賃貸住宅(みなし仮設)にお住まいの方々を対象に行なっていましたが、今年は復興公営住宅に入居した方々と周辺地域との交流を主旨として行いました。
今日の会場は公営住宅のすぐ目の前にある老人福祉施設の望岳荘です。この施設を運営する社会福祉法人愛泉会はもともと仙台市の東部、若林区荒浜で活動していましたが、津波の被害で施設は失われ、海辺からはるか離れたこの地域に移転したのでした。
その時、「地域住民の交流と防災に役立つこと」の使命を自任し、建設の際に「地域交流ホール」というフリースペースを設けたとのことです。新しくご近所さんになった泉中央南復興公営住宅の方々にお声がけし、ケアハウスやデイサービスの利用者さんもご一緒に「復興コンサートいずみ2016」をお楽しみいただくことになりました。本日は仙台フィルの若手楽団員で構成された4人組、ヴァイオリン小山あずささん、クラリネット下路詞子さん、チェロ吉岡知広さん、コントラバス名和俊さんが出演しました。
また、復興コンサートいずみの特長として、地域の人たちとつくりあげるコンサートという一面があります。毎年共演している仙台白百合女子大学聖歌隊tutti♪(トゥッティ)に加えて、今回はトーンチャイムサークルの「リスブラン・トーンチャイム・ハーモニー」のメンバーにもご登場いただけることになりました。
空気の冷たい、小雨模様の今朝でしたが、会場は満員。復興公営住宅の方と、施設利用者さんあわせておよそ80名の人が集まりました。車椅子で参加した方も多くいらっしゃいました。オープニングはトーンチャイムによる『栄光の架け橋』の演奏です。多くの人がご存じの様子で、あちこちからハミングが聞こえて来たのは意外でした。
続く、聖歌隊との共演『翼をください』でも一緒に口ずさむ方がたくさんいらして、緊張していた学生さんたちもほっとしていた様子でした。その後は仙台フィルメンバーによるクラシックプログラムです。
シュベルガー『コントラバス、ヴィオラとチェロのための四重奏曲ニ長調』より第3楽章、クレンゲル『即興曲Op.30』、ロッシーニ『弦楽ソナタ第三番ハ長調』が演奏されました。
演奏家の息づかいが聞こえるほどの近さなので、演奏を聴く側もその真剣さに惹きこまれます。
演奏の間にメンバーがトークをはさみます。小山さんは一所懸命に、下路さんは落ち着いて、吉岡さんは穏やかに、名和さんはおちゃめに、と話しぶりに演奏家の特徴が表れています。お客さんはまるで娘か孫でもみるように目を細めて聞いていました。コンサートは終始和やかに進みました。最後には瀧廉太郎『花』を全員で演奏し、お客さんにも歌でご一緒していただきました。外は曇り空ですが、会場内はぱあっと明るい雰囲気の中でお開きとなりました。
終わって、施設職員の方が「利用者さんたちの集中力が違いました」「いつもは途中で飽きて退席したり、トイレに行きたがる方がいるのですが、今日はそれがなかったです」と驚いていました。演奏をお気に召していただけたようで、私たちも嬉しいです。
今回が初の演奏となった仙台フィル若手4人組も「復興コンサート、また出たいです!」と意欲を示し、事務局としてはとても心強く感じました。その溌剌としたまっすぐなパワーに是非期待したいですね。今後ともよろしくお願いします。