お知らせ
笑顔咲く咲くせせらぎコンサート 開催しました
- 2016.3.15
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仙台市立若林小学校と若林区中央市民センターおよび若林市民センターでは、若林西復興公営住宅の入居者がこの地域に早く溶け込めるようにと三者協力して、例えば、入居歓迎メッセージを掲示したり、公営住宅の花壇づくりとその世話を高学年児童が担当したり、また、一緒に防災訓練を行なうなど、さまざまな形で顔の見える関係づくりをしています。
公営住宅自治会のせせらぎ会ではこの春で入居2年を迎えるにあたり、温かく迎え入れてくださった若林地区の方々と、「花と笑顔と元気」を届けてくれた若林小児童へ感謝の気持ちをこめてコンサートを開催することにしました。言うなれば、公営住宅のみなさんから地域のみなさんへ音楽の贈り物ですね。こういう形で復興コンサートをお届けできるのも嬉しいことです。
青空ながら冷たい風がふきすさぶ今朝、体育館にはおよそ300名の児童と100名の地域住民が集まりました。
赤ちゃんを抱っこした若いママや車椅子の方、授産施設に通う人びとの姿もありました。普段コンサート会場にはなかなか足を運ぶ機会のない人たちがこの機会にご参加いただけた様子でよかったです。せせらぎ会の役員さんも「いろんな方が来てくださって嬉しいです」と喜んでいました。
本日の出演は仙台チェンバーアンサンブルのみなさん(ソプラノ勝又久美子さん、ピアノ門脇麻美さん、ヴァイオリン叶千春さん、チェロ塚野淳一さん、フルート渡邉珠希さん、クラリネット叶光徳さん、パーカッション小林直央さん)です。
登場した女性メンバーのドレス姿に「うわ~ぁ」と客席からため息がでました。
まずはおなじみの映画音楽やオペラアリアで観客をぐっと惹きつけ、その後は学校の音楽室から借りた木琴を使って『道化師のギャロップ』を演奏しました。小林さんの華麗なマレットさばきに子供たちは釘づけ、「すごーい!!」と驚いていました。いつもの楽器がいつもと違う特別なものに見えたことでしょう。
『ラデツキー行進曲』を使った指揮者体験コーナーでは、演奏を始める合図のしかたや2拍子の振り方をみんなで練習した後、希望者には実際に指揮をしてもらいました。「やってみたい人はいますか?」と訊くと「はい!」と元気よく手を挙げた6年生男子と女子一人ずつにご登場願いました。
こわごわ振る子、てきぱき振る子、指揮に個人差がはっきりと表れ、それが音にも反映されるのが他の子たちも面白かったようです。
思うようにうまく振れたかな?小さな指揮者たちは「ちょっと難しかったです…」「おめでたい感じで振りました!」とそれぞれの反応を見せていました。後半では「小学生にはあまりなじみがないかもしれませんが…」と日本の歌が演奏されました。山田耕筰『この道』と唱歌『春の小川』です。客席の後ろに掛けていた大人たち、特にご高齢の方が一緒に口ずさんでいるのが見えました。
プログラムの最後に演奏された曲は『希望の道』でした。この歌は仙台市教育委員会が「故郷復興プロジェクト」の復興ソングとして詞を公募し、作ったものです。当時、市内の小学生だった越後瑠璃さんが書いた詞に、仙台に縁のある音楽家が曲をつけました。若林小学校の子供たちは立ち上がって一緒に歌いました。澄んだ歌声が体育館に満ちてゆきます。
この体育館も震災直後から1か月ほど避難所だったそうです。たくさんの人がここに詰めかけ、生活していました。5年が経ち、当時のことはすっかり幻だったかのようです。でも、きっと6年生はその光景を覚えているでしょう。
歌い終わって、演奏家から児童へ拍手が贈られました。客席では「子供の声を聞くと、どうしても泣けちゃってね…」と涙ぐんでいる人もいました。
今日の会を主催したせせらぎ会の方は嬉しそうな笑顔を見せて来場者のお見送りをしていました。協力した市民センターや社会福祉協議会のスタッフさんたちも「良いコンサートでしたねえ」と喜んでいました。
また、校長先生が「みなさんの聴く態度が立派で感心しました。演奏会は演奏する人と聴く人が一緒に作るものなんだなあと思いました」と子供たちをほめていました。本当にそうですね、関係者のみなさんそしてご来場のみなさん、どうもありがとうございます。
市内各所で復興公営住宅への入居が進み、周辺地域とのコミュニティづくりが課題となっています。この若林地区と若林西復興公営住宅のパートナーシップは、その課題に対するひとつの良い参考例になるかもしれませんね。