お知らせ

カワノカミ音楽会 vol.3

2016.3.26

音楽の力による復興センター・東北は石巻・川の上プロジェクトと協働し、
季節に一度の「カワノカミ音楽会」を開催しています。

IMG_9993s前回伺ったときはクリスマスの頃でしたが、季節はめぐって、今日は満開の白梅がお出迎えしてくれました。IMG_9981s
第3回となるカワノカミ音楽会、今日は「クラシック・セレクション」。弦楽アンサンブルで本格クラシックをたっぷりお楽しみいただくプログラムです。出演は仙台フィルハーモニー管弦楽団のヴァイオリン小川有紀子さんと小山あずささん、ヴィオラ清水暁子さんのトリオです。
演奏家のみなさんは到着するなり「すてき!」「ここに住みたい!」と百俵館をすっかり気に入った様子でした。IMG_0025s
瀟洒な見た目だけでなく、この建物は弦楽器との相性がよいらしく、心地よい響きがします。さらに良い響きを求めて、最適の立ち位置を探しながらリハーサルは進められました。

IMG_0094s日が傾くごとに空はいろいろな色に変わって行きます。藍色の夕闇があたりを包む頃に開演となりました。今回、試験的に開演時刻を19時にしてみたのですが、果たしてお客さんがどのくらい集まってくださるかは未知数、ちょっとした賭けでした。IMG_0062s
が、蓋を開けてみると40名を超える参加があり、急いで椅子を追加するほどになりました。

IMG_0150sサティ『ジュ・トゥ・ヴ』、ハイドン/ハルヴォルセン『パッサカリア』、バッハ『ガボット』、プロコフィエフ『無伴奏ソナタ』、そしてドヴォルザーク『テルツェット』全楽章が演奏されました。時に繊細に、時に雄々しく、弦の音色が綾なすさまざまな情景がつぎつぎに浮かびあがり、その場の空気を曲ごとの色に染めてゆくようです。

演奏家3人の呼吸はぴったりで、その弓づかいはまるでシンクロナイズドスイミングか新体操の団体競技を見ているような気さえしました。その姿にお客さんも惹きこまれたのか、呼吸を合わせて聴き入っています。IMG_0077sIMG_0159s
演奏が終わる瞬間にはため息と拍手が一緒に湧いてきました。小さな子もママの膝の上に抱かれて不思議とおとなしく聞いていました。

IMG_0067s演奏の合間にはバロック楽器やバロック音楽についての解説があり、多くの人が興味深そうに聞いていました。
「バッハとプロコフィエフ、どちらがお好みですか?」と小川さんが質問すると、どちらにも同じくらいの数の手が挙がりました。こうして間近で聴き比べると、違いがわかってより面白く感じますね。

IMG_0162sプログラムの最後は、演奏に合わせて会場のみなさんに瀧廉太郎の『花』を歌っていただきました。あずささんも客席に入って、歌で共演しました。

朝晩冷えますが、みちのくにも着実に春は近づいています。IMG_0211s
出口では、川の上プロジェクト理事長の三浦さんがみなさんに梅の枝が手渡していました。小さな春が今夜のお土産ですね。

百俵館の近所には大きな応急仮設住宅群があります。また、もともと400世帯ぐらいあったこの地域には近い将来、防災集団移転で新たに400世帯がやってくることになっています。新しいコミュニティづくりの拠点として百俵館はさまざまな試みを展開しています。その中で、この音楽会もささやかながらお役に立てればと思います。
次回は6月にうかかがいますね。どうぞよろしくお願いします。