お知らせ

鶴ケ谷市民センター再開のお祝いに

2016.4.10

仙台市宮城野区の鶴ケ谷市民センターは東日本大震災で大きく被害し、全壊取り壊しとなりました。5年が経ってようやく新築再開となり、このたびそのお祝いのために復興コンサートを行なうことになりました。
会場には朝早くから大勢の方がいらして、賑やかです。地域の人たちがどれほどこの開館を待ち望んでいたかがわかります。開場してあっという間に満席になり、次から次に人が来て、椅子の追加が追いつかないほど。赤ちゃんからお年寄りまで、およそ400名の参加がありました。
DSC_0773客席を囲むようにしてパネルが並び、蝶の形をした様々な色彩のカードが貼り付けられ、目にも鮮やか。それは地域の子供たちや大人から寄せられたお祝いのメッセージの数々でした。「再開をずっと待っていました」「たくさん遊びに来たいです」、そんな言葉が読めました。
「春・はばたきコンサート」と名付けられたこの催しには、地域の小学生によるすずめ踊りの披露や、この市民センターに集うコーラスグループの演奏もあって盛りだくさんです。IMG_7787-
IMG_7775-小学生が一所懸命に踊る様子に大人たちは目を細めていました。子供たちの「再開おめでとうございます!」の声にやんやの拍手が贈られました。
その後は熟年コーラス3団体が登場し、そのやさしい歌声は色とりどりの花束のようでした。

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さて、今日の出演は仙台フィルハーモニー管弦楽団メンバーによる管弦九重奏シャンブル・ディスのみなさん(ヴァイオリン宮﨑博さん、ヴィオラ御供和江さん、チェロ 北村健さん、コントラバス名和俊さん、フルート芦澤曉男さん、オーボエ西沢澄博さん、ファゴット入交滋さんホルン大野晃平さん、仙台フィルOBのクラリネット副島謙二さん)です。IMG_7893-
IMG_8073-オープニング曲はシュトラウス2世『春の声』です。編成に管楽器と弦楽器が入っていると音の響きがぐっと厚くなって、たった9人でもオーケストラのようです。軽やかなワルツのリズムに誘われて、お客さんも右に左に体を揺らして聴いていました。開館記念のおめでたい日にぴったりの曲ですね。華やかで晴れやかな雰囲気が会場全体を包みました。
続いては弦楽器それぞれがソロを披露するイタリア歌曲メドレーと、各管楽器がソロを受け持つ東北の歌メドレーです。IMG_7980-
楽器の特徴が説明されるとお客さんは興味深そうに聞いていました。『会津磐梯山』や『ソーラン節』が演奏されると、お年を召した方々がほとんど条件反射と言ってもよいぐらい自然にに合いの手を入れたり、一緒に口ずさんだりしていました。その様子に演奏家も嬉しそうでした。
IMG_8135-春にちなんだメドレーでは『春がきた』『花』『春よこい』など、なつかしく愛らしい童謡や唱歌がたくさん出てきました。御供さんが「どんな曲が出てきたでしょう?」とクイズにすると、会場のあちこちから手が挙がり、当たれば拍手、はずれれば笑い声が起こって和やかな雰囲気になりました。IMG_8016-
復興コンサートは司会上手の御供さんのトークにいつも助けられています。「楽器はみんなちがうのに、それが合わさると素敵な音楽になります。だから、仲間っていいなあと思うんです」というお話しは、まさにコミュニティづくりにも当てはまることだと思いました。
IMG_8075-最後に、合唱サークルのみなさんに再び登場していただき、『花は咲く』を合同演奏しました。会場のみなさんにも一緒に歌っていただきました。
ぴかぴかの明るいホールに温かな歌声がいっぱいに満ちています。歌いながら涙を流す方もいて、この5年を思い出していた様子でした。お客さんも演奏家も互いに拍手を贈り合い、お開きとなりました。IMG_9267-

IMG_7880-「震災の後、再建するのに5年かかると聞いたときは、『5年後はこの町がもうどうなっているかわからない、人も減ってしまうかもしれない。そんなに待っていられない』と思ったものですが、こうして今日の日をたくさんの人と迎えることができて本当に良かったです」と或る関係者が言っていました。このセンターが地域の人びとに愛されて、豊かな交流が生まれますようにと願います。