お知らせ
田子西「うたカフェ♪」_5月
- 2016.5.20
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仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では、
町内会主催のサークル活動として、当住宅とその周辺にお住まいの方々の
交流の場「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、 みんなで歌い、
おいしいコーヒーとおしゃべりを楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、
音楽リーダーとなる音楽家をコーディネートしています。今日も穏やかな良い天気に恵まれました。身も心も軽くなって、もうそれだけで嬉しいですね。住宅の敷地に咲くシロツメクサが甘い香りをあたりに漂わせています。白つつじも今が盛りと咲き誇っていました。
いつものように音楽リーダーは仙台オペラ協会のソプラノ松本康子さんと岩瀬りゅう子さん、ピアノ伴奏は富樫範子さんが務めます。自家焙煎喫茶ひこのマスター西垣信彦さんも準備万端でお客さんの到来を待ち受けます。
陽気のせいなのかいつもより早い出足で、参加者が次々にやってきます。「こんにちは~」「いつもどうもね~」と賑やかでした。
今日の準備体操では大袈裟に眉毛を上げ下げしたり、「ぷるるるる…」と高速で唇をふるわせたり、「たらららら…」と巻き舌で発音したりと、より念入りに顔と口まわりの筋肉をほぐしました。
課題曲はほのぼのと『どんぐりころころ』、テレビでおなじみの『水戸黄門のテーマ』、重厚に『黒田節』、そしてカンツォーネ『サンタ・ルチア』でした。みなさんよくご存じなので練習無しにすぐ歌いました。最初はぽそぽそと恥ずかしそうでしたが、「引力に負けないように顔の筋肉も上げて!」「リズムに乗って楽しく!」「遠慮しないで!」とのアドバイスを受けると、歌がぐぐっと生き生きしてすごい声量になりました。
特に『サンタ・ルチア』が良かったですね。「イタリア人になったつもりで」という助言が効いたのでしょうか。何事につけ、気持ちは大事ですね。
すると、松本さんが「ちょっと見本をお見せしますのでお聞きください」と、朗々と『サンタ・ルチア』を歌い始めました…が、なんと歌詞は『黒田節』なのでした。みなさん初めはきょとんとしていましたが、だんだん様子がわかってくると、驚きとおかしさで「あはは」と笑い出しました。
お酒の一樽、二樽、三樽チア(サンタルチア)というダジャレを圧倒的な声で見事に歌い上げるものですから、なおのことおかしくて、歌が終わった瞬間に「ブラボー!!」と爆笑と大喝采が起きました。
「さ、みなさんもやりましょう」と水を向けると、「えええ~!」とまた笑いが。まずは『どんぐりころころ』『水戸黄門』を交換しました。実際やってみるとけっこう頭の体操になりますよ。愛唱される歌はいかに歌詞とメロディがしっかり結びついているかがわかりました。歌いながら、なんだか黄門さま御一行がスキップして旅する光景が目に浮かびます。その一方で、どんぐり君とどじょう君が眉間にしわを寄せて後悔している様子も浮かんできました。面白いですねえ。
だんだんコツを会得してみなさんノリノリで歌いました。サンタ黒田節ルチアもたっぷりと歌いあげ、気分爽快のフィナーレとなりました。
コーヒータイムでは、松本さんと岩瀬さんがモーツァルト「フィガロの結婚」の『けんかの二重唱』を披露しました。
舞台さながらに身振り手振りを交えてのやりとりと美しい声のハーモニーにみなさんうっとり。薫り高いコーヒーとともに味わう贅沢なひとときですね。
あっという間に終わりの時間となりました。この集まりもこなれてきて、参加者のみなさんがてきぱきと撤収作業をします。出口では「来月はいつなの?」「このコーヒーが楽しみでねえ」と感想を頂戴したり、「うちの息子がさぁ…」と世間話をされます。井戸端みたいな気軽さがいいですね。にこにこと帰っていく姿を見ると、スタッフとしてとてもうれしいです。
次回はそろそろアイスコーヒーの時季でしょうか。また来月お会いしましょう。