お知らせ
仙台市立六郷小学校へ
- 2016.5.31
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ただいま開催中の第6回仙台国際音楽コンクールの関連事業の一つとして、出場者による「学校訪問ミニコンサート」があります。惜しくもセミファイナルへ進めなかった出場者が仙台市内各地の学校で演奏を披露するという企画です。復興センターでは、そのうち東日本大震災の影響が特に大きかった仙台市立六郷小学校と鹿野小学校でのコンサートについてコーディネートを担当します。これらのコンサートは公益財団法人イオン1%クラブの特別協賛による「輝く未来へ 夢の音楽会」と題して実施されます。
真っ青な空に絹雲がたなびく今朝は、ヴァイオリン部門に出場したロシアのニキータ・アクロフさんが仙台市立六郷小学校を訪れました。仙台市の東部にあるこの小学校は、震災で体育館が大きな被害を受け、昨年ようやく新築なったばかり。またいつ来るかもしれない災害に備えて、避難所としての機能を持たせた設計にしたそうです。
会場には3年生と4年生を保護者の方々あわせて約280名が集まりました。すらりと背の高いニキータさんが登場すると、拍手と歓声で大歓迎してくれました。
ピアノ伴奏は仙台在住のピアニスト文京華さんが務めます。
モーツァルト『ロンドK.373』、メンデルスゾーン『ヴァイオリン協奏曲』第一楽章、チャイコフスキー『感傷的なワルツ』など、ヴァイオリンの魅力をたっぷりと、ふたり息の合った演奏で披露してくださいました。
クラシックだけのプログラムなので、もしや子供たちは飽きてしまうのではないかという心配をよそに、ほとんどの児童が集中して聴いていました。すぐ目の前で見る生演奏の迫力に惹き込まれた様子です。体育館じゅうにヴァイオリンとピアノの音が響いて、全身が耳になったような感じがしました。
プログラムの途中で、演奏家への質問コーナーがありました。
「いつから音楽を始めたのですか?」
「ロシアはどんな国ですか?」
「どうしてヴァイオリンをやろうと決めたのですか?」
「どんな服が好きですか?」
「好きな人はいますか?」「好きな女の子のタイプはどんなですか?」etc…
音楽に関係することしないこと取り混ぜて、矢継ぎ早に質問が飛び出します。通訳を務める鎌田みどりさんも子供たちの勢いにたじたじでした。
ある女の子が「好きな曲は何ですか?」と問うと、ニキータさんは「次に弾くのがそうです」と答えて、ラヴェル『ツィガーヌ』を演奏しました。
時に繊細に、時に激しく、ニキータさんの指づかいや弓さばきから出る千変万化の調べに先生や保護者のみなさんも釘づけでした。
最後は子供たちと演奏家で「気球にのってどこまでも」を共演しました。元気のいい明るい歌声と楽器の音が合わさって体育館いっぱいに広がりました。その様子を大人のみなさんが温かく見守っていました。 素直な子供たちの様子にニキータさんも文さんも終始にこにこ顔でした。
言葉や国を超えて通じるもの、それも音楽が持つ力の一つかもしれませんね。今日のこの思い出は子供たちの胸の中でどう育ちゆくのでしょう。いつかそんな話が聞けたらいいですね。