お知らせ

カワノカミ音楽会vol.4開催しました

2016.6.18

音楽の力による復興センター・東北は石巻・川の上プロジェクトと協働し、
 百俵館を会場に、季節に一度の「カワノカミ音楽会」を開催しています。

百俵館外観前回は満開の白梅の花でしたが、今日はどくだみの可憐な白い花がお出迎えしてくれました。4回目となる「カワノカミ音楽会」は、初夏らしく「ビールの似合う音楽会」と題してお送りします。DSC_0861
百俵館では岩手県一関市にある世嬉の一酒造のクラフトビールを今日のために特別に仕入れ、おつまみも用意して、お客さんを待っています。
出演はジャスミン・トリオ(フルート櫻井希さん、クラリネット菊池澄枝さん、ピアノ鷲尾恵利子さん)です。夏至はもうすぐ、この時季ならではの明るい長い夕方がなんとなくうれしく感じられます。リハーサルをするうちに空は水色から藍色へと移り変わり、静かに夕暮れとなりました。
DSC_0863会場には赤ちゃんからお年寄りまで幅広い年齢層の方が集まりました。今回、男性と家族連れが多いのがいつもと違う印象です。昨年末のクリスマスコンサートに来ていたご家族もいらして、この音楽会がだんだん定着してきているのだなあと感じました。
さて、開演。オープニングはエルガーの『愛の挨拶』です。お客さんはその後から三々五々やってきて、やがて用意した席は一杯になりました。大人はビール、子供たちはジュースを飲みながら、とてもゆるやかな雰囲気でした。
DSC_0871ジャスミントリオは百俵館初登場、そして石巻での演奏が初めてとのことで気合い充分です。ウェブスター『カルメン・ラプソディ』、モンティ『チャルダッシュ』など速弾きの技巧的な曲では小さな子たちが釘付けになり、ぴょんぴょん跳びはねてノリノリで聞いていました。その姿に周りの大人も演奏家たちも笑顔になりました。全身で反応してもらえると嬉しいものですね。演奏が終わると「すごいねー!」「いいぞー!」と大人から声が上がりました。
懐かしの加山雄三『お嫁においで』、カーペンターズのメドレーでは特に熟年層が体でリズムを取ったり口ずさんだりして楽しんでいました。
続いて、「今日のために、初めてのラテンナンバーに挑戦します」とおなじみ『マンボ№.5』が演奏されました。「よろしければ掛け声をどうぞ!」とのお誘いにけっこうな人数が「うーっ!」と片手を挙げてレスポンス。実に好いノリです。ビールがさらに美味しくなりそうですね。
菊池さんの気さくなトークでコンサートはおだやかに進行しました。曲や楽器の解説もあってみなさん音楽が身近に感じられたのではないでしょうか。赤ちゃんがむずがって声を出してお母さんが困っていたところへ菊池さんが「何かそういうギャグがありましたよね…」とフォローを入れると、みなさん「あはは」と笑ってなお和やかになりました。
フルートの櫻井さんは「ビールにちなんでこの曲を選んでみました…」と言って、ヒース作曲『シラーズ』を鷲尾さんとの二重奏で演奏しました。どこか尺八を思わせる、和の旋律にも似た一陣の疾風のような曲でした。ホップの苦みのようにアクセントになる選曲のように思われました。
20160618百俵館アンコールでは『いつでも夢を』を一緒に歌っていただきました。カラオケばりに張り切って美声を披露するおじさまがいたり、うろ覚えなりにがんばって歌う若者がいたりとなんだか良い光景ですね。初の試みだった「ビールの似合う音楽会」は拍手喝采の中で終演となりました。
どの顔にも「ああ楽しかった!」という様子が感じられました。お土産にとビールを買い求める人あり、演奏家に感想を述べる人あり、愉しい夕べはゆるやかにお開きを迎えました
戸を開けて見あげた空には、まあるい月が出ていました。歩いて帰る人たちをやさしく照らしていました。
DSC_0877百俵館のスタッフさんからも「ここの新しい楽しみ方ができたように思います」とのお声をいただきました。やがて始めるであろう大規模な防災集団移転へ向けて、百俵館は地域コミュニティの拠点としてますますその役割が大きくなっていくことでしょう。期待されるさまざまな機能のほんの一部でも音楽でお手伝いできたらいいなあと思います。
次回は9月19日に子供向けのコンサートを予定しています。ぜひお越しください。