お知らせ
泉中央南「歌声サロン」_6月
- 2016.6.28
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仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、泉中央南町内会と
泉区まちづくり推進課と仙台白百合女子大学と協働してサロンを運営しています。小雨まじりの梅雨空のもと、樹々の緑が冴え冴えと美しく映えています。憂鬱な雨も視点をちょっと変えてみるとなかなか佳いものですね。
今日も町内会の方々がすっかり支度を整えて待っていてくださいました。演奏家が楽器を運んでくると、男性スタッフが「この重いのは僕の仕事だから」と率先して大きなキーボードを運びます。「じゃあこの小さいのは私ね」と自然と役割分担ができていてセッティングがスムーズに進みます。町内会の方々が自分たちのこととしてこのサロンに関わってくださることを嬉しく思います。
今日も音楽リーダーはメゾソプラノ後藤優子さん、ピアノ田村聡子さんが務めます。毎回、工夫を凝らした演出が楽しいおふたり、「少しでも気分が明るくなように…」と、リハーサル中にアジサイの花と小さなパラソルを飾り付け、なにやら小道具も仕込んでいました。お客さんを楽しませようという心遣いがあふれていますね。
ところで、お昼のテレビドラマに合わせて開始時間を13時10分に変えたせいか、あるいは口コミ効果でしょうか、参加者がだんだん増えているようです。13時を過ぎるとあっという間に席がほぼ埋まりました。常連さんもご新規さんも「今日は何を歌うのかしら」とわくわくした様子です。
まずはウォーミングアップに軽くストレッチを。肩まわり、腰まわり、そして顔も横隔膜もよくよく動かして歌う態勢を整えました。一気に会場の気温が上がって、ふうふう汗を拭きながら体操する人もいました。恒例の、良い姿勢になるための五七五「肩上げて、うしろに回して、はいストン」」では常連さんが一緒に唱えていました。もしかして普段もこの体操をやってくださっているのでしょうか、すっかりおなじみになったようですね。
さて、最初の歌は『あめふり』です。「ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷ…」とみなさん童心に帰って、弾みながら歌っていました。
続く『この道』では、後藤さんがまず見本を示すため1番だけ歌いました。すると「うわぁ…きれいねぇ」と客席からため息がもれました。歌う前に歌詞をみんなで朗読すると、何かしんとした心持ちになって、「すてきな歌だねぇ」と言葉をしみじみと味わいました。言葉数も少なくてとてもシンプルな短い歌ですが、日本歌曲の美しさを堪能できる歌ですね。
3曲目はがらりと雰囲気を変えて『瀬戸の花嫁』でした。「ジューンブライドにちなんで…」との選曲だそうです。昭和の歌謡曲は大好きな人が多いので、どの方も(男性も)懐かしそうに歌っていました。
休憩時間には仙台白百合女子大学のサークルWhite Lilyのお二人がコーヒーを提供します。今日は夏を先取りして「サマーブレンド」という銘柄を用意してくださいました。
美味しいコーヒーとお菓子でみなさんのおしゃべりも弾みます。後藤さんと田村さんに話しかける方もいて、とても和やかでした。
みなさんがお茶を飲んでいる間にお待ちかねのミニコンサートとなりました。坂本九の『明日があるさ』で後藤さんは歌に合わせてパラソルや電話機を取り出し、歌に登場する青年を演じながら歌いました。田村さんもピアノ伴奏のかたわらで効果音を入れるなど、見事なコンビネーションです。
まるでちょっとしたお芝居かミュージカルを観ているようで、お客さんもノリノリで手拍子しながら大盛り上がりでした。80歳を過ぎている方も今にも立ち上がらんばかりになって手拍子に興じていましたよ。
アンコールはテレサ・テン『時の流れに身をまかせ』を叙情ゆたかにしっとりと歌いました。小さく口ずさむ人、ほろほろと涙をこぼす人の姿がありました。歌声はやさしい霧雨のように聴く人をそっと包んでいたように思われました。今日もたのしくお開きとなり、出口では演奏家がお見送りしています。「ありがとうね」「またね」「次はいつなの?」「今度はこの曲をきいてみたいわ」といろいろな言葉が交わされます。来場者のみなさんの笑顔に演奏家は励まされ、エネルギーを充電していくのです。次回もさらにパワーアップして登場することでしょう。また
来月、よろしくお願いします!