お知らせ

駅なかメモリアルコンサートvol.3開催しました

2016.7.11

音楽の力による復興センター・東北では今年度、毎月11日に地下鉄東西線の
国際センター駅と荒井駅を会場にした「駅なかメモリアルコンサート」を企画制作しています。
東日本大震災から5年が経過した今だからこそ、市民のみなさんとともに、
音楽を通じてあの日に思いを馳せる場を設けたいと考えました。
(主催=仙台市)

梅雨の晴れ間の青空が目にまぶしい日となりました。
DSCN0570朝から気温がぐんぐん上がり、会場準備をするスタッフは汗だくです。駅なかメモリアルコンサートの3回めともなりますと、おなじみになってきたのでしょうか、すでに開演の2時間以上も前から待っていた方が何人かいらっしゃいました。有り難いことです。今日の良いお天気に誘われてか、会場にはおよそ300人の観客が集まりました。たくさんの人の熱気で会場はさらに暑くなってきました。
DSCN0546本日の出演は仙台木管五重奏団のみなさん(フルート宮嵜英美さん、オーボエ山本睦さん、クラリネット叶光徳さん、ホルン山本大さん、バソン海野隆次さん)です。
オープニングはモーツァルトの「魔笛」より『序曲』でした。前半はプーランク『ノヴェレッテ』、ラモー「新しいクラブサン曲集 組曲ト調」から『めんどり』『三つ子たち』『エジプトの娘』など、木管五重奏ならではのクラシック曲をたっぷりとお聴きいただきました。普段耳にすることの少ない作品に触れるのも新しい出会いになって好いものです。時に華やかに、時にまろやかに、5つの楽器のそれぞれの音色がまじりあってうつくしい響きを生み出していました。リハーサルの時にはもしや音量が大きすぎるかなと心配されたのですが、多くのお客さんが入ることでちょうどよい響きになっていました。よく「コンサートは演奏家とお客さんでつくるもの」と言われますが、心理的なことだけでなく音響的な側面でもそうなのだなぁと実感しました。
DSCN0557途中で楽器紹介コーナーがあり、各演奏家が自分の楽器について説明しました。こんなふうにして演奏家の生の声を聞けるのもまた楽しいですね。DSCN0565
ホルンの山本さんは「もともとホルンはツノという意味なんですよ」と角笛を吹き鳴らしました。まろやかなホルンとは全く異なる野性的な力強い音が響き渡り、「おー!」と拍手が起きました。
DSCN0551バソンの海野さんは普段仙台フィルでファゴットを吹いていますが、「バソンって本当に難しい楽器なんですよ」と言いました。「何が難しいって、全部が難しい!」との本音にどっと笑いが沸きました。
後半は耳なじみのある曲を取りそろえ、日本の四季にちなんだ唱歌のメドレーと、映画「サウンド・オブ・ミュージック」のメドレーが披露されました。「ご存じの曲やお好きな曲があればどうぞ歌ってくださいね」と大さんが言いました。おなじみの曲も木管五重奏のアレンジが新鮮で耳に愉しく、ひと味違ったものに聞こえてわくわくします。『月の沙漠』や『エーデルワイス』など、会場からは静かに低く口ずさむ声が聞こえてきました。
DSCN0574演奏家はもう汗だくでしたし、お客さんも長い時間立ちっぱなしで、演奏会には少々つらい状況だったのですが、深々と聴いてくださるお客さんたちの温かさにつつまれて、会場は穏やかで優しい空気に満ちていました。
大きな拍手と「ブラボー!」の声にお応えしてアンコールに『花は咲く』が演奏されました。「よろしければご一緒に歌ってください」と水を向けると、ほとんどの方が歌い始めました。たくさんの人びとの歌声が一つになって、合唱団かと思われるほどの声量になりました。歌声に包まれるようにして演奏家はしあわせそうな表情で演奏を終えました。DSCN0593
終演後に或るご婦人が「なんだか涙が出ちゃってねえ…ありがとうございました」と声を掛けてくださいました。小さな男の子がフルートの仕組みに興味を持った様子で、宮嵜さんに特別講義を受ける微笑ましい一場面もありました。今日もさまざまな音楽との出会いがあったようですね。
みなさんどうもありがとうございました。また来月、お会いしましょう。