お知らせ

仙台市立鹿野小学校へ

2016.6.15

6月26日まで開催中の第6回仙台国際音楽コンクールの関連事業の一つとして、出場者による「学校訪問ミニコンサート」があります。惜しくもセミファイナルへ進めなかった出場者が仙台市内各地の学校で演奏を披露するという企画です。復興センターでは、東日本大震災の影響が大きかった地域2か所の小学校でのコンサートをコーディネートします。これらのコンサートは公益財団法人イオン1%クラブの特別協賛による「輝く未来へ 夢の音楽会」と題して実施されます。

今朝は仙台市立鹿野小学校へうかがいました。この学校に通学する児童の多くが住んでいる太白区緑ヶ丘地区は東日本大震災による宅地被害が大きく、その一部は防災集団移転の対象となりました。現在は復興公営住宅等での新しい生活が始まっています。
DSCN0362今日の出演は、イスラエル出身でドイツ在住のマリア・ユーリンさん、韓国出身でドイツ在住のウォン・ジョンホさんの2名のピアニストです。通訳は鎌田みどりさんが務めました。
会場の音楽室には5年生と6年生児童およそ120名が集まりました。

金色の長い髪をなびかせて長身のマリアさんが登場すると、子供たちの間から「うわぁ…」とため息のような歓声が上がりました。また、ウォンさんが流暢な日本語で話し始めると子供たちは「えぇ~」と驚いていました。
DSCN0376前半はマリアさんがラヴェルの組曲『鏡』より『海原の小舟』、『悲しげな小鳥たち』、『道化師の朝の歌』を演奏しました。DSCN0370
特に『悲しげな小鳥たち』では、マリアさんが暗い森を歩いていた時に一本の大樹から一斉に鳥が飛び立った光景を見てとても怖かったことやこの曲のイメージをつかんだことを語りました。子どもたちは想像力を膨らませて聴き入っていました。

DSCN0386ウォンさんはリストの作品の中でも演奏されることが稀だと言われる『巡礼の年 第二年イタリア』より『ダンテを読んで―ソナタ風幻想曲』を演奏しました。18分にも及ぶ難曲を暗譜で弾く様子に子供たちは圧倒されていました。地獄から天国に至る道程を表したという激しい作品で、途中で弦が切れるハプニングもありましたが、ウォンさんは動じることもなく弾き終えました。DSCN0401

質問コーナーでは「ピアニストになろうと決心したのはいつですか?」「好きな作曲家は誰ですか?」などさまざまな質問が出て、演奏家は真摯に答えていました。
その後、子供たちはマリアさんの演奏と一緒に合唱で『ビリーブ』を、また、ウォンさんのピアノと一緒にリコーダーで『カントリーロード』を共演しました。

DSCN0418終わりに、児童代表からお礼の言葉と綺麗な折り紙細工が贈られました。
マリアさんは今回が初来日とのことで、見るもの聞くものすべてが新鮮で興味深いとのことですが、子供たちの前で演奏できたこともとても嬉しかった様子でした。
今日のコンサートは一期一会の、ほんの一瞬の出会いだったかも知れませんが、子供たちにも若き演奏家たちにもきっと栄養になる経験だったのではないかと思います。素晴らしい演奏をありがとうございました。